日銀新総裁は黒田亜流か

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黒田日銀総裁が二期目の任期を終えるについて、岸田政権が後任の新総裁を決めた。黒田日銀によって日本経済が大きく毀損されてきたと考えている小生としては、誰が後任になるかについて、多少の関心はあった。そこで新総裁がどのような考えの持ち主か知りたいと思ったが、いまのところ情報は限られており、正確なことはわからない。だが、新聞などの情報によれば、引き続き金融緩和を進めていきたいと考えているようなので、黒田総裁とあまり変わらないのではないかと受けとめた次第。金融緩和で景気を盛り上げると信じているようなら、黒田総裁同様、古いタイプのマネタリストなのであろう。

古いタイプのマネタリストは、金融政策によって経済の活性化、つまり景気の上昇がもたらされると主張してきた。黒田日銀がこの十年間やってきたことは、その古いタイプの金融理論に基づいたものだ。だが、金融政策が景気を上昇させるというのは、逆立ちした考えであるということは、これまでも小生の言い続けて来たことであり、また実際にも、この十年間の黒田日銀の金融政策が景気の上昇に失敗し続けてきたことで立証されている。

にもかかわらず、岸田政権が、黒田総裁の二番煎じを選択したのには、それなりのわけがあるのだろうと小生は理解している。今やアベノミクス以来の金融政策の結果、日本は財政ファイナンスの上に成り立っており、また、金融市場も日銀依存型のいびつな構造に陥っている。そこで無理に正常化を進めれば、政府の財政は破綻し、また、金融市場に大きな混乱が生じる恐れがつよい。そこでとりあえず、黒田路線を引き継ぎつつも、より柔軟な対応を期待できる人物を後任に選んだのではないか。どうもそう思えるのである。

岸田政権は、新たな財源の裏付けのないまま、防衛予算の倍増とか、少子化対策のための予算の大幅増とか、大判振る舞いの財政運営をしようとしている。だから、ますます日銀の役割は大きいのである。日銀は本来貨幣価値を維持することに存在意義があるはずだが、近頃の日銀は、政府の経済運営のための駒として都合よく使われている。それがいつまでも続くわけではない。





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