セリーヌ・シアマ「水の中のつぼみ」:思春期の少女の性のめざめ

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セリーヌ・シアマの2007年の映画「水の中のつぼみ(Naissance des pieuvres)」は、思春期の少女の性の目覚めというようなものを描いた作品。シアマにとっては、監督デビュー作である。思春期をテーマにしていることで、それなりの情緒を感じさせるが、小生のような老人には、未成年者のあぶなっかしさのようなものが気になるところだ。

15歳の少女が主人公である。やや年上の未成年女性、少女というには大人びているが、さりとて女性として成熟しているわけでは女性との間で、この少女がかかわりを深めていくなかで、同性愛に目覚めていくといったような内容だ。だが不幸なことに、その愛は片思いで、報われることはない。相手は、基本的にはヘテロセクシャルなのだ。

少女がその若い女性にあこがれたのは、シンクロナイズド・スイミングの練習光景を見たことがきっかけだった。その姿の美しさにひかれ、近づきたいと思ったのだった。彼女らは次第に仲良くなるが、年上のほうは、仲間たちから嫌われている。その理由は、尻が軽く、誰とでも寝るという噂が立っていたためだ。ところが実際には、セックスした経験はない。だが是非したいと思っている。そこで男といざという所までいくのだが、なぜか肝心なところで尻込みしてしまうというのである。

この女性には変わったことろがあって、自分が処女だと思われるのがいやだというのだ。男と寝るのをためらうのは、処女だということがばれるのがいやだというわけだ。そこで、少女に処女破りを手伝ってほしいという。少女はいわれるまま、彼女の処女破りを手伝う。彼女の膣に指を突っ込んで処女膜を破ろうとするのである。発想の短絡ぶりが、いかにも子どもっぽい。

そんな具合で、万事少女たちの幼さが目に立つように演出されている。その幼さがこの映画の魅力なのだろう。この映画に出てくるのは、未成年者ばかりで、大人はほとんど出てこない。一人だけ年上のほうをひっかけようとする男が出てくるが、年下の少女に脅されて、すごすごと引き下がるような間抜けである。この映画には、子どもたちの脅威となるような大人は出てこないのだ。少女たちがのびのびと思春期の青春を謳歌している。見方によっては、ロリコン男が喜びそうな映画である。

なお、原題は文字通りには「タコの誕生」という意味だが、それがじっさい何をイメージしているのか、小生にはわからない。





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