首相公邸「悪乗り忘年会」から見える病理

| コメント(0)
雑誌「世界」に「日本を診る」という題で連載をしている片山善博氏が、最新号(2023年7月号)に「首相公邸『悪乗り忘年会』から見える病理」と題する一文を寄せている。これは岸田首相の長男の公私混同問題を取り上げたものだが、日頃個人攻撃とは距離を置く氏が、めずらしく名指しで強く批判した。話題の件については広く知れわたっているところなので、ここでは触れないが、その件をめぐる氏の批判の要点は、岸田首相の身内びいきがあまりにも度を超しており、首相が息子をつれて歩く姿は、北朝鮮の金正恩が娘を連れて歩く姿と変わらないということである。氏は、「日本は世襲の北朝鮮を笑えない」とまでいって、岸田首相の振舞いを厳しく批判している。

身内びいきはなにも岸田首相に限ったことではない。だいたい日本の政治家は、世襲議員が多すぎる。それは、世襲の当事者だけの問題ではなく、政治家を中心にした利権共同体というものがデンと存在し、それを継続させるための方便として、世襲議員をかつぐことに利益を感じるからだろう。議員個人の問題というより、日本の政治文化の問題なのである。

世襲は、目に見える形で政治を劣化させている。その最大の理由は、努力しなくても議員になれたり、有力政治家になれたりするシステムがあるおかげで、無能な政治家が増えていることだ。今の日本の政治を見ると、無能な政治家が無責任な役人と組んで、わけのわからぬことをしているといた眺めを日常的に目にする。その典型例が、マイナシステムの構築をめぐる混乱だ。

マイナシステムの構築は、そんなにむつかしいこととは思えない。それをわざわざむつかしくしているのは、政治家が無能だからであり、その無能な政治家を無責任な役人たちが馬鹿にしているからであろう。しかもご丁寧なことに、当該の無能な政治家が、自分のしていることの意味をほとんど理解していない。多くの国民が、システムへの不信からマイナカードを返納していると報道されると、たいしたことではないと開き直る始末だ。

ちなみにこの政治家は、コロナ対策を担当したときにも、ちんぷんかんな行動を繰り返し、国民を不安に陥れた。でも、全く反省している様子が見られない。たいしたことではないと思っているからだろう。そういう人間が、岸田後の総理大臣に意欲をしめしているというから、日本も絶望的な状況にあると言わねばなるまい。





コメントする

アーカイブ