「ヴェプレ醸造所内から見たクリシー広場（La place de Clichy vue de l'intérieur de la brasserie Wepler）」と題されたこの絵のモチーフは、ずばりタイトルどおり。ヴェプレ醸造所というのは、クリシー広場に面した酒場のことらしい。その酒場の内部から、クリシー広場を一望したというのが、この絵のモチーフである。
ボナールはモンマルトルのクリシー周辺に本拠をおいていたから、クリシー広場にはよく来たし、また広場をモチーフにした作品も多数手がけた。
遠景に、広場を囲んで並ぶ建物群が描かれ、前景には、酒場のウィンドウ越しに通りを歩く人々がスナップショット風に描かれる。また、中ほどは広場になっていて、そこには大勢の人々がたむろする様子が描かれる。
遠景の建物群は暗い影に沈んでいるように見えるが、中景や前景の人物群には強い光があたり、それが印象派風の雰囲気を醸し出している。
（1912年 カンバスに油彩 139×205㎝ ブザンソン美術館）
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