オランダ国王が奴隷制と奴隷貿易について公式謝罪

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2023年7月、オランダ国王が奴隷制と奴隷貿易について公式に謝罪したそうだ。水島治郎によれば(「世界」2023年11月号所収論文「自由と寛容をめぐるせめぎあい」)、オランダは南米にスリナム植民地を領有し、19世紀半ばまで大量の奴隷をアフリカから連れてきて使役した。他の国が相次いで奴隷制を廃止する動きを見せても、オランダは最後まで奴隷制の維持にこだわった。実際に奴隷制を廃止したのは1873年のことだ。

オランダが奴隷貿易の対象としたのは60万人とされる。一方、イギリスは300万人ものアフリカ人を奴隷貿易の対象にしたという。そのイギリスは、国王による公式謝罪はしていない。また、奴隷貿易について大きな役割を果たしたロイズなどの企業も、この問題については、取り上げることに消極的だ。奴隷制と奴隷貿易は、イギリスの世界覇権確立に大きな役割を果たしたので、それを正面から否定するのは、自己否定するようで、決まりがわるいのでもあろうか。

アメリカも含めてアングロサクソン諸国は、なにかと人権とか民主主義を錦の御旗にしたがるが、その一方で、奴隷制のような人道問題については鈍感さを感じさせる。今般も、イスラエルのユダヤ人によるガザのパレスチナ人への、皆殺しとしか言いようのない残虐行為に対して、自衛権の行使だなどと言い訳をつけて擁護する姿勢を見せている。

言うことと、やっていることとが違うのはままあることだが、こと奴隷制への鈍感さとといい、ユダヤ人によるパレスチナ人虐殺の擁護といい、ひどいダブルスタンダードぶりである。




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