アベノミクスの目標は経済を立て直して強い軍事力を持つことだ:本田内閣参与の意見

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このところ、いわゆるチーム・アベのメンバーによる失言騒ぎが続いているが、今度は安倍政権のブレーンともいうべき内閣参与から、失言と言うべきか、率直な意見と言うべきか、とにかく物議をかもしそうな意見が飛び出た。場所はアメリカのメディア、ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューの場。そこで氏は、安倍首相の靖国参拝を擁護する一方、アベノミクスの目標は、賃金上昇と生活向上のほかに、(力強い経済力を持つことで)より強力な軍隊を持って中国に対峙できるようにするためだと語ったそうだ。

この発言の中で、もっとも物議をかもしだしそうなのは、「強力な軍隊を持って中国に対峙」するという点だろうが、筆者にはむしろ、靖国問題をめぐるこの男の姿勢の方が興味深かった。

この男は、「日本の首相が靖国参拝を避けている限り、国際社会での日本の立場は非常に弱い」とし、「われわれは重荷を背負った日本を見たくはない。自立した国としての日本を見たい」と語った上で、何故靖国が日本人にとって大事なのか、そのひとつの要素として神風特攻隊を例に上げたそうだ。そして特攻隊が米空母に突入する様子を仕草で再現しながら、「日本の平和と繁栄は彼らの犠牲の上にある」と、目を真っ赤にさせながら言い、「だから安倍首相は靖国へ行かなければならなかったのだ」と語ったそうだ。

これを聞かされたジャーナル紙のインタビュアーが奇異な念に打たれたらしいさまは、記事の行間から伝わってくる。彼らアメリカ人にとっては、日本の神風特攻隊は自爆テロ、あるいは軍による兵士への自殺強要として映る。ところが日本人の中にはいまでも、これを英雄視する者がある。英雄視するだけならまだしも、自爆テロとそれにかかわる軍国主義精神を礼賛する者がいるのは理解できない、という気持が伝わってくる。

神風特攻隊の礼賛という点では、NHKの百田経営委員原作の映画「永遠のゼロ」が今話題になっているそうだ。筆者は未見だが、冷泉彰彦氏の映画評によれば、隊員個々の心の葛藤を描いている点には共感できるものがあるが、特攻隊というシステム全体を礼賛している点は評価できない。というより、このような言説は日本を国際社会から孤立させる原因になると批判している。

たしかに、いまどき神風特攻隊を全面的に礼賛する心境というのは、普通の日本人にもないのではないか。そうした精神構造の持ち主は、軍国おたくのおっさんぐらいだろう。ところがこの軍国おたくのおっさんたちが、チーム・アベを形成して、日本を普通に戦争のできる国に作り替えようとしているわけだ(世界中を相手の孤軍奮闘でなければよいが)。






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