どんぐりの背比べから見える日本の暗澹たる未来:自民党総裁選

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自民党の総裁選挙が告示された。四人の候補者が出揃って、マスメディアをはじめ日本中が大騒ぎになっている。この騒ぎが絶大な演出効果を発揮して、国民の関心は自民党に集中している感があり、そのことで野党の諸君はすっかり埋没するありさまである。一時は菅不人気で大ピンチに陥った自民党が、みごとに国民の注目の的となった。さすがに伝統ある自民党だ。

だが、候補者の顔ぶれを見る限り、あまり感心してはいられない。一番有力といわれる河野大臣は、菅首相とともにコロナ危機対策に失敗した最大の責任者、それがどのツラ下げて菅首相の後任を目指すのか、小生ならずとも首をひねるところだろう。岸田元政調会長は、もっとも早く立候補の意思表明をしたのだったが、時間があったぶん、その間に言うことがコロコロ変わってきた。それはいわゆるAAコンビに忖度してのことだろうと言われているが、そんなことでは、かれが言うところの日本の改革はままなるまい。

今回は初めて二人の女性が立候補したが、どちらもいまいちだ。高市元総務大臣は、安倍路線を全面的に引き継ぐといっており、まさに守旧派と言ってよい。もう一人の女性野田副幹事長は、首相になって何がやりたいのか、まるで伝わってこない。それでは自民党の顔見世興行に顔を貸しただけだと言われるだろう。

政策の上では一応相違があるようである。河野氏が一番左で高市氏が一番右だと言われているが、小生にはそうは思えない。高市が右翼のタカ派なのはわかるが、河野は新自由主義を信奉している点で、菅とそう変わらないのではないか。だから体質的には岸田が一番リベラルで左っぽいと思うのだが、なにしろ言うことがコロコロ変わるので、本意をとらえることができない。

それより重要だと思うのが、この四人には日本の未来についての長期的な展望が全く欠けていることだ。未来の日本をどのように作り変えていきたいか、そのビジョンが見えてこない。それは四人とも、自民党の党是である対米従属の枠から一歩も踏み出ていないからだ。その枠のなかにとどまる限り、日本の未来などはちっぽけなものになるほかない。世界のリーダーなどと大げさなことは言わないまでも、せめてアジアのリーダーになるくらいの気概は持ってもらいたい。ところがこの四人からはそういう気概は伝わってこない。あいかわらずアメリカの犬となって、アメリカのために働き、そのアメリカの恩恵にあずかりつづけたい、そういうケチな了見が伝わってくるだけである。

そんなわけだから、小生にはこの四人がドングリの背比べをやっているようにしか思えない。ドングリはしょせんドングリで、ドングリであり続けるかぎり、大木にはなれない。そんなかれらの背比べからは、日本の暗澹たる未来しか見えてこない。





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