長沙里9.15:朝鮮戦争の一こまを描く

| コメント(0)
korea22.chon.jpeg

2019年の韓国映画「長沙里9.15」は、朝鮮戦争の一こまを描いた作品。北に攻め込まれた南側を助けるため、アメリカ軍が仁川上陸作戦を決行する。この作戦は、戦争全体の帰趨に決定的な影響を及ぼすのだが、それを成功させるために、南側が陽動作戦を実施する。それは、朝鮮半島南東部の長沙里に上陸して、北側の注意をそらせている間に、仁川上陸を成功させようとするものだった。問題なのは、その上陸を担ったのが、南側の正規の軍隊ではなく、急遽かき集められた学生たちだったということだ。その学生たちが、まったく訓練も受けず、ろくな用意もないまま、決死の突撃を繰り返す。常識ではありあないと思われるこの話は、実際にあった話だというので、小生などはびっくりさせられたところだ。

この映画を見ると、朝鮮半島人が南北に分かれていがみ合っていることがひしひしと伝わってくる。北側の視点は全く感じさせないが、南側の連中は、北側を憎むこと蛇蝎のごとしである。かれらは「滅共」を合言葉に、北側のせん滅を望んでいることを隠さない。ところが、実際には、その北側と効果的に戦っているのはアメリカであり、南側の朝鮮人(映画では「韓国人」といっている)は、アメリカの威を借りているに違いない。そのアメリカの力を借りて、北側をせん滅しようというのであるから、ほとんど漫画チックな態度といってよい。

そんなわけであるから、朝鮮半島人がいまだに民族として統一し、自主独立を果たせないでいるのは、かなりな必然性によるものだと思わざるをえない。この映画は、その必然性を所与として受け入れ、北側をせん滅することこそが正義にかなうことであり、そのためにはアメリカの威を借りるのは当然のことだといった開きなおりを感じさせる。

ドラマとして見るべきものもほとんどない。じつに馬鹿げた映画である。民族の恥をさらして悦にいっているようなものだ。





コメントする

アーカイブ