経済安保は経済合理性の無視を合理化する

| コメント(0)
経済安保を合言葉にして、経済合理性の無視がまかり通っている。経済安保とはアメリカ政府が言い出したことで、要するに中国の封じ込めを狙ったものだ。それになぜか日本も便乗し、経済的にはわりにあわないことをやるようになった。半導体製品をはじめとした対中輸出制限や投資の抑制などはその最たるものだが、そのほか、軍事力の選択的輸出促進とか、特許にたいする税制上の優遇などがある。このうち軍事力の輸出促進は、目先の利益にかなうが、そのほかは経済合理性を無視したものと言わねばならない。

小生がとくに首をかしげざるを得ないのは、特許に対する税制上の優遇だ。岸田政権は、税制上の優遇を与えることで、日本企業が特許の開発に熱心になることを期待しているようだが、そううまくいくとは限るまい。だいたい特許というのは、個人にしろ企業にしろ、知的な活力から生まれるもので、税制で優遇されたからといって、自動的に生まれるものではない。特許への取り組みを盛んにさせるためには、日本人の知的なレベルを上げる方が先決だろう。足の遅い(頭の悪い)人間にいくらにんじんをぶら下げても、早く走れる(頭がよくなる)とは限らないのだ。

日本経済の過去の動きをみても、政府が音頭をとってやってきたことは、ほとんど実を結ぶことがなかった。その理由は、政府のやることが馬鹿げていた(経済合理性に反していた)ことと、それにかかわる日本人の頭が悪かったことだ。悪い頭になにを吹き込んでも、ろくなことにはならないだろうし、かえって状況を悪くさせるのがおちだ。というのは、経済合理性に反したことは、ふつうはろくな結果をもたらさないからである。

要するに肝心なことは、日本人の頭をもうすこしましにさせることだ。それには、政府はなにもしないほうがよい。日本人は、お上の言うことに盲従する性行を強く持っているので、政府が馬鹿なことを言い出すと、国民も一斉に馬鹿になりきるのである。政府が何もしないようにすれば、国民も馬鹿なことはしなくなるだろう。そうなれば日本人が全体として馬鹿に傾くこともなくなるだろう。





コメントする

アーカイブ