「弱者」が「強者」に指示する 辺野古埋め立て問題をめぐる茶番劇

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沖縄県辺野古の埋め立て工事についての知事の認可をめぐって、先の最高裁判決をうけて国側が知事に対して認可の「勧告」をしたところ、知事がそれに従う姿勢を見せないとして、今度は「指示」に切り替えた。指示にも従わねば、次は国による代執行の手続きに入る意向ということらしい。代執行というのは、この場合、国の国土交通大臣が知事に代わって認可を行うということだ。

こういうのを、普通の人間の感覚では茶番劇というのではないか。そもそも、この問題は、地方自治の本旨に基づいて、国が県と誠実な話し合いをしたうえで方向性を出すべきたぐいの問題だ。それなのに、国側はかたくなな態度に終始し、問答無用といった高圧的な姿勢を示している。

国側がとっている一連の手続きは、行政法の精神を逸脱したもので、それを容認した最高裁の態度は政権への忖度以外の何ものではないとの指摘は、別稿で述べたとおりである。それ以上に問題なのは、本来強者である国が、弱者である沖縄県をいじめているにかかわらず、法制上は、国側が弱者の立場に擬制され、沖縄県が強者の立場に立たされうえで、弱者である国側が、強者である沖縄県に指示を出すという点だ。これでは、茶番劇をこえて、不条理劇というべきである。

その不条理劇を、日頃弱者に寄り添いたいといっている公明党の大臣が演じようというのであるから、笑うにも笑えないではないか。ともあれ、沖縄県知事は、そんな指示に従うことはない。国側の不条理をあぶりだすという意味でも、勝手にやらせておけばよい。その上で、国側の不当性を世論にアピールしたほうがよい。






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