ドイツ政府が国内のムスリムにハマスへの非難とイスラエルへの連帯を強要

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ドイツ政府の内務大臣が、国内のイスラム教徒に対して、ハマスの越境攻撃を明確に非難し、イスラエルへの連帯を表明するよう求めたそうだ。これは事実上強制的なものといえるようだ。なにしろドイツ政府が名指しで求めていることだ。それに応えないとどんなことになるか。ドイツ国内のイスラム教徒は不安におびえていることだろう。

ドイツ政府はなぜこんなことをやりだしたのか。ドイツ国内のイスラム教徒の大部分は、トルコ人かその子孫であるから、ドイツ政府はトルコ人に向かってこんな強要をしているわけだ。先日エルドアンがドイツに来た際、ショルツ首相のいる前でイスラエルを批判し、そのイスラエルを支持しているドイツを、過去におかした罪への負い目のせいだろうとほのめかしたことがあった。それへの意趣返しとして、今回こんなことを言い出した可能性はある。

トルコ人に限らず、イスラム教徒のほとんどは、イスラエルを侵略国家と思っており、イスラム教徒であるパレスチナ人には同情の念こそあれ、非難するいわれはないと思っていることだろう。そう思うのは、内心の自由の問題であり、そこにドイツ政府が介入して、パレスチナ人を非難し、イスラエルのユダヤ人に連帯を表明せよとせまるのは、ナチス顔負けの横暴さである。

政府の責任者がこんなことを言うのであるから、場合によっては、ドイツ国内の新ナチなど極右勢力が、政府の言うことを盾にとって、イスラム教徒への迫害を始める可能性がある。

ドイツがイスラエルに遠慮しているのは、エルドアンが言うように、過去に犯した過ちへの負い目がそうなさしめてるのであろう。それはドイツの勝手かもしれないが、しかしその負い目を関係のないイスラム教徒にも負わせようというのは、筋違いではないか。いまや世界は、ウクライナ戦争やガザの虐殺といった事態を前に、共通の正義は失われ、ダブルスタンダードが幅を利かせている。ダブルスタンダードとは、分断をそのままよしとするものだ。その分断を前提にして、力の強い者が、自分勝手な振る舞いをする。そんな世界になってしまったのを見るのは悲しいことだ。






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