国策半導体企業ラピダス 成功の見込みはあるか

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国策の半導体企業として岸田政権が前のめりになっいるラピダス。政府はその育成に1兆円を投じる方針だそうだ。名目は経済安保というので、反対する者はいない。だが、果たして成功するかどうかについては、懐疑的な見方が多いようだ。半導体産業は、一時は日本が世界をリードしていたこともあって、政府はその復活に執念を持ち、電器産業を結集してエルピーダを立ち上げた経緯があるが、失敗に終わった。今回もその轍を踏むのではないかと危ぶむ見方が多いのだ。

その兆し(失敗の可能性)はある。この巨大プロジェクトは、関連産業がこぞって支援することが必要だが、今のところ企業は様子見で、腰を入れて取り組もうという姿勢が見られない。それぞれ10億円前後の出資金でお茶を濁している程度だ。こんな調子では、政府の音頭取りはからぶりに終わる恐れが強い。

だいたい、こうしたプロジェクトがこれまで失敗してきたのは、政府が余計な介入をするからだと言われている。うまく進んでいるプロジェクトも、政府が介入し始めた途端に頓挫するというのがこれまでの流れだった。だから今回も頓挫するだろうという見方には、相当の理由があるわけだ。

その最大の理由は、経産省をはじめ、役人たちの無責任にあると言われる。役人たちは、二・三年で異動するので、じっくりと腰を据えて取り組まないという欠陥があるうえに、政治家が無能と来ているから、こういう壮大なプロジェクトは、そもそも成功しないように仕組まれているのだ。つまり、日本で巨大プロジェクトが成功しないのは、構造的な原因によるのである。

そうであれば、今回のラピダスも、ほとんど成功の見込みがないと考えるのが自然ではないか。

半導体政策については、国策企業を育成するほかに、外国企業への補助金交付という問題もある。台湾の半導体企業TSMCには、日本国内の生産拠点整備を対象に、これも一兆円近い補助金の交付が予定されている。外国の企業にそんな巨額の補助金を出して、日本に相応の見返りがあるかというと、かならずしもそうではないらしい。その企業の活動の大部分が、日本に多大な恩恵を及ぼすわけではなく、日本はただ工場の用地を提供するにとどまる可能性が高い。そんなものに巨額の補助金を出す理由は、どうもよくわからない。

これも、日本の政治家の無能が原因なのだろう。かれらの頭の中には、台湾は日本の属国という考えがあって、台湾の企業は日本の企業と同じ扱いをしてよろしいという思い込みがあるようだ。そんなふうに思い込んでいるからこそ、いわゆる台湾有事を日本への直接の脅威と受け取るのであろう。






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