イスラエルはタイ人を人間とは見做さない ハマスとの人質・拘束者交換

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ハマスに人質になっている者の一部が、イスラエルが拘束しているパレスチナ人と交換で釈放された。この交換は、ハマスが釈放する人質1人に対して、イスラエル側が3人の割合で釈放するという取り決めになっているようで、初回はハマスが釈放するイスラエルの人質13人に対して、イスラエル側は39人を釈放した。ところが、ハマスはそれに加え、10人のタイ人(他にフィリピン人1)を釈放した。これは、交換の枠組とは別途、ハマス側の一方的な措置である。ということは、タイ人の人質は、交換の枠組にそもそも入れられていないということだろう。タイ人をイスラエルが交換の枠組に含めないということは、タイ人を人間として見做していないということを物語っているのではないか。

1対3という割合は、イスラエル側が譲歩しているように見えるが、そう単純なものではない。今回釈放されたパレスチナ人は、女性や子供たちで、拘束の理由も納得できるものではない。イスラエル政府を批判したとか、イスラエル兵に石を投げたというもので、その前提にイスラエル兵の暴力的な振る舞いがあることを忘れてはならない。イスラエル兵は日常的にパレスチナ人を攻撃しており、それに対してパレスチナ人が反抗するのは自然なことなのだ。そんな理由で拘束されているパレスチナ人は膨大な数にのぼるはずで、今回はそのほんの一部が釈放されたに過ぎない。

ともあれ、イスラエルがタイ人を人間と見做さないようなことを平然と行っているのは、同じアジア人として看過できない。今回もし日本人が人質になっていたとするなら、イスラエルはどのような措置をとっただろうか。日本人もタイ人も大した違いはないから、日本人も人質としての(したがって人間としての)枠組から外すのだろうか、それとも、日本はアメリカの有力な同盟国だから、その日本人は人間並に扱うつもりだったのか、是非知り合いものである。

ところで、今回の事態でイスラエル国内に大勢のタイ人が存在することが明らかになった。イスラエルは従来労働力不足をパレスチナ人を使うことで補ってきたが、パレスチナへの引き締めを強める政策の一環として、タイはじめ東南アジアに労働力の補給先を求めてきた経緯がある。

なおタイ政府は、今回の取引を仲介したカタール、エジプト、イランに謝意を表したということだ。






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