怠惰な徒弟はタイバーンで処刑される:ホガースの版画シリーズ「勤勉と怠惰」

| コメント(0)
hogarth29.png

ホガースの版画シリーズ「勤勉と怠惰(Industry and Idleness)」の第十一作目は「怠惰な徒弟はタイバーンで処刑される(The Idle 'Prentice Executed at Tyburn)」と題する。怠惰な徒弟トム・アイドルが、悪行の報いを受けて処刑される様子を描いたもの。絵は、大勢の人々が注視するなか、処刑場に引き立てられるトムを描く。タイバーンとは、ロンドン郊外にある村の名前で、12世紀の末から18世紀にかけて絞首台の処刑場がある場所として知られていた。

トムは、画面やや左寄りに描かれた車に乗せられ、自分の棺に背をもたれて座っている。かれの前には聖職者が座り、聖書を片手に説教をしている。車の後には、役人たちが馬でつづき、また、車の前には、処刑の主催者が乗った別の車が描かれている。

処刑台は、画面やや右手の四本柱の台で、その上には死刑執行人がパイプを加えながら一行を待ち受けている。いかにも場慣れしたという印象を与える。

車の行列の周囲には、おびただしい数の見物人が集まり、それぞれ勝手なことをしている。赤ん坊を抱いた女や、果物を売る百姓の姿もある。脚のない男もいるといった具合で、処刑がお祭り騒ぎだということを感じさせる。





コメントする

アーカイブ