ノルウェー映画「ザ・ハント ナチスに狙われた男」:ノルウェー人の対独抵抗運動

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2017年のノルウェー映画「ザ・ハント ナチスに狙われた男」は、第二次大戦中ナチスドイツに侵略されたノルウェーの対独抵抗作戦をテーマにした作品。事実に基づいているとのアナウンスがあるので、実際にあったことなのだろう。イギリスで訓練を受けたノルウェー人12人が、対独工作要因としてノルウェーで活動するが、一人を残して捕らえられ、捕らえられたものらは拷問を受けたうえで殺される。残った一人は、作戦の報告を目的に、スウェーデンへの脱出をはかる。それをナチスの一将校が執拗に追う、というような内容。見方によっては、対独レジスタンスとも、サバイバル・サスペンスとも受け取れる。

映画は、のっけから一人のノルウェー人(ヤン)の逃亡する様子を描く。逃亡は映画の全編を通じて続く。その合間に、回想という形で、12人の行動が描写される。それに彼らの受けた拷問とか、処刑される様子が挟まれる。ヤンが触れ合ったノルウェー人たちはみな、かれに対して同情的であり、また、中には彼の逃走を助けるものもいる。とりわけ重要なのは、フィヨルド地域で出会ったマリウスとその妹だ。そのマリウスの努力によって、ヤンはマンダーレンという人々の助力でスウェーデンへの脱出に成功するのである。マンダーレンとはノルウェーの少数民族か、くわしくはわからない。

見どころはヤンが必死になって逃走するシーンだ。凍った水や雪の中を逃げ回り、ひどい凍傷にも見舞われ、生きているのがつらいような状況のなかでも、なお生きることにヤンはこだわる。こんなに辛い思いをするより、死んだほうがましだと思うのがふつうではないか。しかしヤンは徹底的に生きることにこだわるのである。

そのヤンを追いかけるナチスの将校が異常なほどの執念を見せる。かれにかぎらずナチス側は、みな非人間的で残虐な生き物として描かれている。21世紀になってもドイツ人は、ナチスの残した負の遺産に振り回されていると思わざるをえない。そこは同じ敗戦国でも、日本はまだましだ。中国はじめ侵略した国からそんなにひどい反発を受けることはない。中国にも戦時中の日本軍の残虐さを描いた映画はあるが、そうした映画がアジア地域で数多く作られるということはない。ところがドイツは、ヨーロッパじゅうの国々において、いまだにナチス時代に犯したことの責任を問うような映画を作られているのである。






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