ノルウェー映画「キング・オブ・トロール勇者と山の巨神」 トロール伝説

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2018年のノルウェー映画「キング・オブ・トロール勇者と山の巨神」は、ノルウェーの伝説に題材をとった作品。トロールというのは山の精霊のような動物で、北欧諸国の伝説に出てくるのだそうだ。ハイネの長編詩に「アッタ・トロル」というのがあるが、それもトロールのことだと思う。アッタ・トロルは熊の姿をしている。この映画の中のトロールも熊の怪物としてイメージされている。

この映画は、そのトロール伝説に、アスケラッデンのおとぎ話をからませている。アスケラッデンとは、怠け者ながら智慧者で、さまざまな困難を解決する愉快なキャラクターである。日本の「キッチョム」のようなものだ。この映画では、エスペンという名前で、二人の兄と共に冒険の旅に出る。

冒険の目的は、トロールにさらわれたお姫様を取り戻すことだ。そのお姫様は、お嫁に行くのが嫌で、とうとう十八歳になってしまったのだが、ノルウェーでは十八歳で結婚しない娘はトロールの奴隷にされてしまうのである。

そのお姫様とエスペンは、森の中であったことがあるので、お互い顔は知っている。エスペンは、自分の家を灰にしてしまったことで父親の怒りをかい、追放されてしまうのだが、気の優しい二人の兄と、冒険の旅に出る。かれらは様々な困難に直面しながら、それらを悉く乗り越え、ついにお姫様をトロールから取り戻す、というような内容である。

たいした工夫はなく、平凡な冒険物語にすぎない。それがノルウェーの伝説やおとぎ話を踏まえているということに、いささかの見どころがあるとはいえる。なお原題は「アスケラッデン」である。アスケラッデンとは、「灰小僧」というような意味だそうだ。自分の家を灰にしてしまったわけだから、そう呼ばれるのには道理がある。






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