1808年5月3日 ゴヤの戦争画

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「1808年5月3日(El tres de mayo de 1808 en Madrid)」と題するこの絵は、「1808年5月2日」の姉妹作である。前日からのナポレオン軍による鎮圧により逮捕された民兵が、ナポレオン軍の兵士らによって射殺される様子を描く。戦争絵画の歴史のなかで、最も大きな反響を呼んだ記念碑的な作品と言える。
画面右手、に整列して銃を構えた兵士たちが描かれ、左側にまさに撃たれようとしている民兵が描かれる。銃の前に立たされた民兵には、両手を広げて抵抗の意を示しているものもあれば、おとなしく観念しているものもある。また、すでに息絶えて地面に伏している人もいる。かれらの近くには、次の順番を持つ人々が控えている。この場面が起きたのは、5月3日の未明のこととされる。

画面に劇的な効果を持たせるため、兵士と民兵の合間に明るいランタンをおき、その明かりで民兵らの姿を浮かび上がらせている。この工夫があるために、作品全体が引き締まって見え、状況のただならなさを強調している。

なお、この作品は、マネの「マクシミリアン皇帝の銃殺」やピカソの「朝鮮の虐殺」に大きな影響を与えた。

(1814年 カンバスに油彩 268×347㎝ マドリード、プラド美術館)






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