歌舞伎「人情噺文七元結」「太刀盗人」をNHKで見る

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令和5年6月博多座の歌舞伎公演から、尾上菊之助が左官長兵衛を演じた「人情噺文七元結」と中村鴈治郎と片岡愛之介共演した「太刀盗人」を、NHKが放送したのを見た。

まず、「人情噺文七元結」。これは維新前後に活躍した落語家三遊亭円朝の人情噺を歌舞伎化したもの。尾上菊五郎一家のお家芸だそうだ。他愛ない人情劇で、悪人は出て来ず、みな善意の塊のような人間たちが出てきて、それぞれ人の好さを披露しあうといったものだ。

尾上菊之助が長兵衛を演じるのはこれが初めてだそうだ。なかなか粋な雰囲気が出ていて、小気味よい。その小気味のよさは、落語の雰囲気をそのまま生かしているからだろう。

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「太刀盗人」のほうは、狂言「太刀奪」を舞踊歌舞伎化したもの。すっぱと田舎者が太刀を奪い合うというもので、すっぱを中村鴈治郎が、田舎者を片岡愛之助が演じている。狂言のせりふまわしを、そのまま生かしている。たとえば、「こんにちは」というのを「こんにった」という具合である。そのせりふ回しで、歌舞伎風に踊るわけである。






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