勤勉な徒弟はロンドン市長:ホガースの版画シリーズ「勤勉と怠惰」

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ホガースの版画シリーズ「勤勉と怠惰(Industry and Idleness)」の第十二作目は、「勤勉な徒弟はロンドン市長(The Industrious 'Prentice Lord-Mayor of London)」と題する。勤勉な徒弟フランシス・グッドチャイルドが、勤勉にむくわれて出世を重ね、ついにロンドン市長に選ばれた様子を描く。この絵は、おそらく就任に伴う儀式なのであろう、市長が馬車に乗ってロンドン市内を行進している
様子を描いている。

フランシスは、画面やや右手の大きな天蓋車の中にいる。丈の高いシルクハットをかぶり、権力の象徴「国家の剣」をかざしている。窓から外を見ているのは、集まった民衆に挨拶するためであろう。民衆は、天蓋車の周囲に群がっているほか、通りに面したすべての窓とバルコニーにも見える。市長の行列もお祭り騒ぎだったのであろう。

お祭り騒ぎにはいざこざがつきものと見え、天蓋車の周囲では何やら物騒な様子の連中が見える。画面右端には鉄砲を持った男たちが見えるが、これは祝砲をうつためである。じっさい祝砲をうっている男もいる。






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