投票の呼びかけ:ホガースの版画シリーズ「選挙のユーモア」

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ウィリアム・ホガースの版画シリーズ「選挙のユーモア(Humours of an Election )」の第二作は「投票の呼びかけ(Canvassing for Votes)」と題する。有権者の支持を得るための候補者の選挙運動を皮肉っぽく描く。というのも、彼らの選挙運動は買収という形をとるからである。18世紀のイギリスの選挙では、票の買収が選挙運動の中心だったことを思わせる。

画面中央にいるのが候補者。かれの左右に二人の人物がいるが、候補者は彼らからなにやら小物を買っているように見える。どうやら、ご婦人方を買収するための装身具のたぐいのようである。そのご婦人方は、右に建物のバルコニーから身を乗り出している。この時代には、彼女等には選挙権はないから、おそらく彼女らを通じて亭主に働きかけてもらうつもりなのだろう。

なお、この建物は、大きな看板を出しているが、そこにはホイッグを攻撃する絵柄が描かれていることから、どうやらトーリー贔屓のホテルらしい。そのホテルの亭主らしい男が、候補者の右側にたっている。かれの前には二人の人物がひざまずいているが、これは投票を呼び掛けているのかもしれない。

ホテルの玄関口には、ライオンの像が据えられ、その上に中年女性が腰掛けている。彼女はなにかを手にもって確認している様子に見える。おそらく賄賂をもらったのであろう。






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