議員を椅子に乗せる:ホガースの版画シリーズ「選挙のユーモア」

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ウィリアム・ホガースの版画シリーズ「選挙のユーモア(Humours of an Election)」の第四作は「議員を椅子に乗せる(Chairing the Member)」と題する。選挙の結果当選した議員を、支持者らが椅子に乗せて行進する様子を描く。行進は穏やかには進まない。どんちゃん騒ぎを伴う。

この議員はトーリーである。というのも、油彩画では議員の乗せられている椅子のカバーがオレンジに塗られているからだ。盲目のバイオリニストがそれを先導しているが、行列は混沌とした様相を呈している。

二人の男が棍棒で殴りあっている。これはトーリーとホイッグの支持者同士でいさかいがおこったのであろう。そのあおりを食って、椅子の担ぎ手がよろめき、そのため椅子が傾いて議員は落ちそうになる。

行列を取り巻く群衆にまじって、どういうわけか、豚の親子とか、猿を背負った熊がいる。その熊をめがけて、塀の上に陣取った若者が小便を垂れている。

以上、このシリーズは、当時のイギリスの選挙を皮肉なタッチで描いたものだ。






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