
シーレには、レズビアンをモチーフにした作品がいくつかある。だいたいエロチックな雰囲気のものだが、「絡み合って横たわる二人の少女(Zwei Mädchen in verschränkter Stellung liegend)」と題されたこの絵は、あまりそうした雰囲気を感じさせない。そのかわり、右手の女性を盲目に描くことで、別の雰囲気を持ち込んでいる。シーレがなぜこの女性を盲目にしたのか、その理由はわからない。
絡み合って横たわる二人の少女 エゴン・シーレの世界
彼女らの体勢はかなり窮屈に見える。頭を逆方向に向けて横たわり、裸の女性は着衣の女性の腰を抱えている。裸の女性は身をくねらせ、脚ももつれている。着衣の女性は盲目であり、目は開いておらず、無感動のように見える。そのため、人形のようにも見える。
じっさい、裸の女性が人形を抱いているようにも見えなくはない。エロスというよりは、狂気を感じさせる絵である。
(1915年 紙にグアッシュ 32.8×49.7㎝ ウィーン、アルベルティーナ素描版画館)
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