ラース・フォン・トリアー「ニンフォマニアック」VOL1 色情狂の女の生き方

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ラース・フォン・トリアーの2013年の映画「ニンフォマニアック(Nymphomaniac)」は、色情狂を自認する女の生き方を描いた作品。二部構成になっており、劇場版では計4時間、ディレクターズ・カット版では5時間という長さである。トリアーの他の作品同様章立てになっており、全八章からなる。各章は相互に独立した物語になっている。

第一部は五章立てである。冒頭の部分で中年男が路上で倒れていた中年女を拾い、自宅で手当てをした後、彼女の来歴を聞く。女は自分の少女時代に遡って、色情狂としての生き方を振り返る。その表情は、手当を受けたとはいえ、けがでゆがんでいる。おそらく別の男から暴力を振るわれたのであろう。

第一章のタイトルは「釣魚大全」。男が釣り好きなことから、女が男を誘惑することを釣りにたとえ、その女がどのようにして男を誘惑してきたかを語る。男はセリグマンという名だ。変わった名だと女が言うと、これはユダヤの名だと答える。ここでなぜユダヤが出てくるのか、よくわからない(セリグマンはドイツ語圏ではありふれた姓だ)。女は、別の女と、男の誘惑に成功した回数を競い合う。彼女たちのやり方は大胆だ。女はいきなり男のペニスを引っ張り出し、口にくわえこんでいかせてやるのである。背後からセックスするのをフランス式というのは聞いていたが、鎌首を口にくわえていかせるのを、ここではフィンランド式だといっている。フィンランド人に限らず、どの民族でもやっていることではないか。

第二章は「ジェローム」。色々な男をあさっている女は、ジェロームと名乗る男とやる。初めて快感を味わったというと、ジェロームは女が好きになる。でも女は拒否する。同じ男とは二度やらないという主義なのである。

第三章は「H夫人」。Hという男を誘惑すると、Hは女に惚れこんで妻子を無視する。すると妻が三人の男子を伴って抗議にくる。それを女は手際よく撃退する。

第四章は「譫妄」。父親が病床にいる。それを娘の女が看病する。娘は不道徳なことをする。父親を相手にセックスするのだ。

第五章は「リトル・オルガン」。成熟した女は毎晩七・八人の男を相手にセックスするが、まったく感じることがない。ただ穴を塞がれている感じがするだけなのだ。(以上第一部)





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