美を読む

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システィナ礼拝堂の天井画は、天井中心部を飾る創世記の逸話を描いた部分、それを囲む預言者たちの像の部分に接して、更にその外周部に三角形で囲まれた部分がある。その三角形の部分のうち、天井の四隅にあたるところ(ペンデンティヴと呼ばれる)に、ミケランジェロは、旧約聖書の中の、ユダヤ人の救済についてのエピソードを描いた。「ユディットとホロフェルネス」はその一つである。

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システィナ天井画のなかで、預言者ヨナの対角線上、つまり西側の壁の上部に描かれているのが「預言者ザカリア」の像である。ミケランジェロがシスティナ礼拝堂の天井に描いた七人の預言者のうち、唯一新約聖書に出てくる人物である。

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システィナ礼拝堂天井画のなかで、「最後の審判」の上部に描かれているのが「預言者ヨナ」である。預言者ヨナは、異教徒たるニネヴェの民への改心の進めや、それに続くニネヴェの陥落とアッシリアの滅亡を予言した人として知られるが、それ以上に、巨大な魚の腹の中に飲み込まれた話が、「ヨナ書」を通じて、ことのほか有名である。

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デルポイはパルナッソス山の麓にあって、アポロンを祭る神殿があったことで有名である。そこにはアポロンの神託を伝える巫女がいて、ギリシャ全土から人々が集まってきては、巫女の口からアポロンの神託を聞いたという。プルタルコスは、ギリシャの歴史において最も古い起源を有する巫女としている。

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イザヤは、旧約の預言者のなかで最も偉大な預言者といわれる。旧約の数ある預言書の中で最初に来るのはイザヤの予言を記した「イザヤ書」である。また彼は、キリスト教徒にとってとりわけ評判が高い。というのも、キリストの登場とキリストによる救済を最初に予言したのがイザヤだとされているからである。

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クマエの巫女は、ウェルギリウスの「アエネーイス」に冥界への案内者として登場する。また、ローマの神話では、アポロンから1000年の寿命を授けられたが、若さを保つ方法を授からなかったので、年をとって皺くちゃとなり、やがて萎んでいったと伝えられている。

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ダニエルはバビロンに捕囚された預言者で、その類稀な能力によって、ネブカドネサル、ペルシャザール、ダレイオスという三代のバビロン王に重用された。「ダニエル書」は、ダニエルの足跡を記すとともに、世界の終末についてのダニエルの予言を記述したものである。

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リビアの巫女とは、リビア砂漠のオアシス都市シワでゼウスの神託を人々に伝えていたフォモノエーという名の女性だったとされる。パウサニアスによれば、不死のニンフと人間の男とのあいだに生まれたといい、また他の伝説によれば、ゼウスがラミアに生ませた子だともいう。そういう神話的な伝説が物語るように、シビュラの中でもっとも古い時代の人である。

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「ヨエル書」は、十二編からなる小預言書の二番目に位置するものである。時代背景についての記述がないに等しいので、いつの時代に書かれたのか厳密なことがわからない。バビロン捕囚以前に書かれたという説や、もっと新しい時代のものだとする説が入り混じっている。

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エリトレアは小アジアのイオニア地方にあった都市である。この都市を建設したのはクレタの人エリトルスであったので、彼の名にちなんでエリトレアと名づけられた。この都市には何人かの巫女の存在が指摘されているが、もっとも有名なのは、エリトレア出身のアポロドーロスの証言による者である。彼は同時代のエリトレアの巫女が、トロイ戦争の勃発とトロヤの敗北を予言したと言っている。また、この戦争について、ホメロスがうそをつくとも予言したそうである。

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エゼキエルは、バビロン捕囚時代に神によって招命された預言者である。神による彼の招命および彼の予言の詳細は旧約聖書の「エゼキエル書」に記されているとおりである。エゼキエルについて知られていることは、すべてこの書物によっている。

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システィナ礼拝堂天井画には、シビュラと呼ばれる巫女の画像が五点ある。シビュラとは、古代ギリシャにおけるアポロンの神託を媒介する巫女のことを言った。聖書との関連は殆どないといってよいが、ミケランジェロは一群の預言者像を描き入れることに伴うバランス上の配慮として巫女を加えたのかもしれない。ミケランジェロの時代には、女の預言者といえばシビュラのことをさしたくらい、シビュラは人々に訴えるものがあった。

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システィナ礼拝堂天井画は、創世記からとった九つの場面からなるシリーズを縦軸(東西軸)に添って並べたうえ、その周り(すぐ外側に接した部分)を預言者及び巫女の画像で囲んでいる。南北にそれぞれ五図づつ、東西にそれぞれ一図づつ、合計十二図である。内訳は預言者が七図、巫女が五図である。

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創世記がノアの泥酔の話をさしはさんだのは、ノアの三人の息子たちの言動が、人類のその後の歴史に大きく影響したのだと言いたいためだったと思われる。ノアにはセム、ハム、ヤペテという三人の息子があったが、セムはイスラエル人の、ハムはアラブ人の、ヤペテはそのほかの人種の祖先となった。この三人のうち、セムとヤペテは父親ノアの祝福を受けたが、ハムは呪いを蒙った。そんなこともあって、イスラエル人が引き続き神の選良でありつづけたのに対して、ハムの子孫たるアラブ人はイスラエル人の敵とみなされるようになる。

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創世記は、神が洪水を起こしたのは、人の悪が地にはびこった為に一旦彼等を滅ぼそうと決心したからということになっている。だがすべての人を滅ぼすにはしのびず、ノアとその家族を、一部の動物たちと共に生き延びさせることとした。その部分を創世記第六章は次のように記述している。

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システィナ礼拝堂天井画のうち創世記に取材した九つの場面の最後の三つはいづれもノアの物語に取材している。すなわち「ノアの煩祭」、「洪水」、「ノアの泥酔」の三場面である。創世記ではこの三つの場面は、「洪水」、「煩祭」、「泥酔」となっているのだが、ミケランジェロはその順序を変えたわけである。

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原罪の話は、アダムとエヴァが神による禁断を破って智恵の木の実を食べた結果羞恥心を知るようになったこと、及び禁断を破った罪でエデンの楽園を追われることからなっている。ミケランジェロはこの二つの部分を一つの画面に共存させた。即ち蛇が巻きついた智恵の木を中心にして、その左側に禁断の木の実をとる場面、右側にエデンの園を追放される場面を並べて描いたわけである。

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「アダムの創造」に続いて「エヴァの創造」の場面が描かれる。ミケランジェロはこの部分も、創世記第二章の記述に依拠している。その部分は次のとおりである。

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創世記の記述は、天と地及び天体の創造のあと生き物の創造を挟んで、いよいよ人類の祖先たるアダムとエヴァの創造に及ぶ。この二人がどのように創造されたかについて、創世記の記述はいささか混乱している。第一章では、神が男と女を同時に創造したということになっているのに対して、第二章ではまず男(アダム)を創造し、その後でアダムの体の一部から女(エヴァ)を創造したということになっている。

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「天体の創造」に続いて「大地と水の分離」が描かれているが、この二つの話の順序が原典の創世記とは逆になっていることは、前回言ったとおりである。「天体の創造」に対応する創世記の箇所は第一章6~13、神の創造行為のうち二日目と三日目にあたる部分である。そこには次のように記されている。

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