二日目(十二月二日)は、六時に起床して朝風呂を浴び、朝餉を喫して後、八時頃ホテルを辞す。しかして湯布院温泉の一角にある金鱗湖なるところに立ち寄る。水中より温泉が湧き出るという。たしかに水面から湯気が立ち上っている。湯気は水面からのみならず、山の中腹からも勢いよく立ち上っている。このあたりは、山腹と言わず、水中と言わず、いたるところから温泉が湧き出ているようである。
旅とグルメ
例のあひるの仲間たちと九州へ紅葉を見に行こうということになり、一時は五・六羽で宮崎・鹿児島の温泉巡りをしようというところまで煮詰まったのだったが、結局なんやらかんやらでおじゃんとなり、その代わりに都合のつく者同士でこじんまり行こうということになった。参加したのは筆者のほかに横・今の二子、行先は湯布院・黒川温泉プラス高千穂峡というコースだ。今子が幹事役になって設定してくれた。筆者はただ乗っかるだけである。
新橋駅で下車した我々は、首都高速の高架下にある「土風呂」と言う店に入った。若者向けの居酒屋だが、老人老女にも十分楽しめる店だ。それぞれの席がパーティションで仕切られ、個室感覚なのがよい。今どきは、こうした半プライベートな感覚が大いに流行っているのだという。
昼食後鎌倉駅から江ノ電に乗った。熟女たちは電車の窓から海が見たいという。そこでもし海が見えたら、見えるはずの方の窓に熟女たちを案内した。しかし海が見えないうちに、電車は目的地の長谷についてしまった。みなさん残念でしたね。
豊穣たる熟女の皆さんと紅葉を求めて鎌倉を散策した。北鎌倉駅で降りて、鎌倉市街に向かう街道沿いに、円覚寺、東慶寺、浄智寺、建長寺、鶴岡八幡宮と巡り歩き、午後は江ノ電に乗って長谷までいき、長谷寺の観音様と高徳院の大仏様にお参りしようという計画だった。夕方東京へ戻ってからは、新橋の高架下で一杯やろう、とも申しあわせていた。
夕刻ピーターパン迎へに来る。これより食事をなし、香港の夜景を楽しまんといふなり。
九月十四日(金)晴。早朝六時起床す。ホテル内にて朝餉を喫し、八時バスにて港へ移動し、そこより高速船に乗りて香港に向かふ。昨日の船と異なり、揺るること甚だし。余俄に船酔に苦しむ。
昼食後澳門半島より橋を渡って対岸の島に至り、マカオタワーに上る。高度338メートルの塔にて、展望台よりは澳門とそれに接する中国側の市街を含めて一望しうるなり。香港程にはあらざれど、ここにも高層ビル林立し、それなりに活気を感ぜしめたり。
九月十三日(木)晴。早朝六時半に起床、七時半に朝餉をなし、九時にホテルを辞す。澳門行の船の発着場はホテル近くにあり、そこまで歩みて至り、通関手続きを為して後、船に乗り込みぬ。
昼食後紅勘なる鉄道の駅に至る。そこより電車に乗りて深圳に行かんとするなり。駅前広場人々雑踏し、ビラを配る者の姿あり。立て看板には「法輪功邪教」、「江沢民流亡集団」などと書かれてあり。ガイド決してビラを受け取ることなかれといふ。若しビラを携へて深圳に至らば、必ず官憲に拘束せらるべし。何故ならビラには中国共産党を批判する文言溢れをるなればと。
九月十二日(水)晴。早朝六時過起床す。窓より外を見るに香港の市街パノラマを見るが如し。眼下には九竜半島の高層ビル群林立し、正面奥手には香港島の市街地を臨む。右手に見ゆるは青衣島にて、九龍半島との間に数本の橋架りてあり。余らの乗れるバスは最も手前の橋を渡りて九龍半島に来れるなるべし。
旧知今子とともに中国嶺南地方を旅せんと欲す。香港より深圳、澳門を周遊せんとするなり。これに広州を加へたらんには嶺南の主要都市を踏破すべしといへど、各旅行会社のツァー・プランに適合するものを見ることなし。よって、上記三都市を周遊することとせしなり。成田より飛行機にて香港に至り、そこより陸路深圳に至り、深圳より海路澳門に至り、再び船に乗りて香港に戻るといふプランなり。旅程は四泊五日なり。
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