旅とグルメ

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(瀬戸内海クルーズ船)

六月十日(金)朝方より快晴にて暑気甚だし。昨夜と同じ部屋にて朝餉を供せらる。窓より海を眺むるに、折から引き潮の底にあたり海底ありありと見えたり。これならば人が浸かりても背がたつべし。仲居の老嫗が言ふには、引き潮の折にはこの海に下りて胸まで水に浸かりながら熊手様の道具もてあさりを掬ひ取る客もあると。余はいはゆる金槌なれば、大事を考慮して海に浸かることはせず。他人のとりたるあさりを味噌汁にして食ふのみなり。

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(浄土寺山門)

食後バスに乗りて浄土寺を訪ふ。山陽道より直接石段を登るなれどその途中を山陽線貫通したれば線路を潜って石段を登るなり。上ること数級にして山門あり。この山門前はかの「東京物語」において老いたる笠智衆と若き原節子が肩を並べて海を見るシーンの舞台となりしところなり。我らは山門の内側より海の方向を見下ろしたり。

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(千光寺山ロープウェー)

六月九日(木)夜来雨激しく降りをりしが九時頃にやむ。昨夜の仲居朝餉の案内に来りていふ、大変な降りやうですが雨漏りはせなんでしたか、と。おいおいしょっちゅう雨漏りがするのかね、と聞くに、なにしろ建物が古うござりますから、と呑気な顔つきなり。確かに雨漏りこそせざれ、床が音を発するなど、古さを感ぜしむる建物なり。

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(尾道の旅館魚信)

三時半頃福山駅に戻り、山陽本線に乗りて尾道に至る。列車は尾道市街に入りて海岸沿を行けり。左手に日立造船所の工場を見る。これは尾道市街とは狭隘なる海峡を隔てたる向島の造船所にて、これを目にしたるときは先日見し映画「故郷」の一齣を思ひ出しぬ。

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(福山城)

余嘗て薇芸両陽に遊びしことはあれどその中間なる尾道には未だ嘗て足を踏み入れしことなし。志賀直哉の小説やら二三の映画を通じて、その風光明媚なることを知れるのみ。この度自らの目をもてその風景の美しきさまを堪能せんと思ひ、共に旅せんやと旧友英生に声をかけしところ、子もまた尾道に遊びたしとかねて思ひ定めをりしなりとて、大いなる賛同を得られしかば、水無月の初めの八日といふ日に、ともに旅装に身を包み、東都を発して西国に向かふこととはなりたり。

例の四方山話の連中と新橋の古今亭で会った。今日は福子から学者人生についての回想話が聞けるはずだというので、合せて十一人が集まった。筆者と福子の他、石、浦、岩、柳、六谷、七谷、田、梶、越の諸子だ。越子はこの会には初参加だ。彼は我々より二年後輩だが、先輩から声をかけられ、面白そうだから参加させてもらったと言う。

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近江町市場の次に金沢城を訪ねた。石川門から入って、五十間長屋の脇を通り、三十間長屋のある高台に上った。金沢城は明治維新後陸軍に接収されたが、天守閣はじめ主要な建物は火災で焼失し、徳川時代のままの姿をとどめるのはこの三十間長屋だけだという。高台の周りに掘られている空堀は敵を防ぐ役目より、馬を遊ばせるために使われたそうだ。小生の出身地下総佐倉の城跡にある空堀もやはり馬を遊ばせるために作られたことを思い出した。

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翌日(四月十五日)六時前に起床し、朝風呂を浴びてテレビをつけると、熊本で大地震が起きたというニュースをやっていた。震度七の揺れを記録し、熊本城が崩れるなどしたほか、大勢の死傷者が出ているという。最初の揺れは昨夜九時過だというから、筆者は体調が悪くて床に潜り込んでいた時だ。しかし同室の二羽(オーさんあひるとあんちゃんあひる)も、揺れを感じるでもなくテレビも見なかったので、こんな地震が起きていたことは知らなかったという。ともあれ熊本城が崩れるくらいだから、よほどすさまじい地震だったに違いない。

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今年のあひるの新年会の席上、幹事役の横ちゃんあひるに、今年の春の旅行の計画はどうなっているかね、と聞いたところが、帰ってくる返事が一向に要領を得なかったので、静ちゃんあひるに応援を頼んだのだったが、そこは静ちゃんあひるのこと、てきぱきと要領よくことを運び、北陸地方に一泊の温泉旅行を計画してくれた。かくして我々あひるの一族は、今年の春も楽しい旅を楽しめることとあいなった次第だった。参加したあひるは、絵かきあひること小生及び静ちゃんあひるのほか、オーさんあひる、少尉あひる、あんちゃんあひる、それに横ちゃんあひるを加えた六羽だった。常連の今ちゃんあひるは、仕事の都合がつかなかったとの理由で、参加しなかった。

四方山話の会で、メンバーが交互に自分史を語るという取り決めになって、筆者がその先陣をおおせつかったことについては先述したとおりだが、二回目の話者は柳子が勤めることになった。前回同様一同新橋の古今亭に集合して、彼の話を聞いた次第だ。いつもはかならず遅れてくるという柳子が、今宵は珍しく時間通りに来た。

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山、落、松の諸子と越中のおがわ温泉に一泊の湯治の旅を楽しんだ。北陸新幹線に乗って黒部宇奈月温泉駅で降り、そこから差し回しのバスに乗って旅館に直行し、一晩ゆったりと温泉につかったあと、翌日真直ぐ駅まで送られ、そのまま東京に戻るというもので、観光地にはいっさい寄らず、ただひたすら温泉につかるという、至極あっさりとした旅だった。

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先日船橋で催した熟女たちとの新年会の席上、桜が咲く頃になったら船に乗って、隅田川に浮かびながら夜桜見物をしましょうよ、という話になった。そこで日程の都合をあわせて出かけてみた。五時に浅草の松屋デパートで待ち合わせ、まず浅草堤の桜を見物する。今年は開花が例年より早いと聞いていたのだが、その後寒のもどりがあったりして思いのほか咲き広がらず、まだほんの一分咲きといった状態だ。それでも気の早い連中はいるもので、堤は花見をあてこんで敷かれたブルーシートで埋められている。

旧友の秋子が九州の豊前から久しぶりに東京へ出て来るというので、昔の仲間が声を掛け合って歓迎会を催した。場所は曙橋近くの外苑東通りに面した峨眉山という四川料理屋。集まったメンバーは、福、石、岩、浦、柳、鈴、梶、錦、甲谷の諸子、合せて十一名だ。中には十年ぶりに顔を合わせる者もいる。

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先日の四方山話の会の卓上、福子が「態変」という関西の劇団が東京公演するから見に行かないかと提案したことについてはこのブログでも触れたとおりだが、昨夜(3月11日)同好の諸子と見に行った。場所は高円寺北口の区立劇場「座・高円寺」だ。筆者のほか、石、浦、七谷及び岩子夫妻の6人が集まった。言いだしっぺの福子は何故か参加しなかった。開演までわずかだが時間があるというので、二階のカフェでビールを飲みながら簡単な食事をした。筆者はビーフカレーを食った。

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(南禅寺山門)

二月廿五日(木)晴。八時に起床、朝餉を喫して後、十時近くにホテルを辞す。荷物を駅構内のコインロッカーに預け、5系統のバスに乗り、南禅寺・永観堂道停留所にて下車、路地を歩むこと十分ほどして南禅寺山門前に至る。

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(妙心寺 桂春院)

食後天龍寺の塔頭宝厳院に赴くも、門を閉ざしてあり。しかして何らの表示もなさず。定休日なるや長期間の休止なるやを知るあたはず。

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(桂離宮 天橋立)

二月廿五日(水)半陰半晴。この日は桂離宮を見物す。十時参観組の許可証を交付せられてあれば、昨日より時間の余裕あり。朝食を喫して八時半にホテルを出で、京都駅前より八時四十五分発三十三系統のバスに乗り、九時十分頃桂離宮前停留所に至り、桂離宮正面受付に九時二十分頃到着す。正式の入場門は工事中にて閉ざされてあり、その横手に設けられたる仮説の入口をくぐって中に入る。昨日同様別棟にて事前案内を聞き、十時丁度に女性係員に先導せられて構内の見物を開始す。

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(大徳寺山門)

曼殊院にてタクシーを呼び寄せ大徳寺に至る。大徳寺は洛北の大寺にて鎌倉時代末期創建になる禅寺なり。徳川時代には朝鮮通信使の宿所にもなれり。大規模の使節団を収容するに足る大寺院はさうはあらざれば、大徳寺の規模の壮大さを知るべきなり。

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(修学院離宮 下の離宮)

二月廿三日(火)陰、時に晴る。この日は修学院離宮より九時開始の見物案内許可を得たれば、朝食後七時半頃ホテルを出で、京都駅より地下鉄烏丸線に乗って終点の国際会館前にて降り、そこよりタクシーを雇ひて離宮に至る。離宮へは八時半頃に到着す。門前に揃ひの半被を着たる集団あり。襟元に熱田神宮豊年講とあり。その数三十名ほど。いづれも老人ばかりなり。この人々とともに案内せらるるのやと思ひしや、彼等は離宮の係員に先導されて別途中に入りたり。門前に立ち止まりて開門を持ちをりし我々ほかの者は、これらの人々とは別に、簡易建物のなかに案内せられ、そこにて離宮紹介のビデオを見せられて後、離宮の係員に案内せられ離宮内を巡覧して歩く。

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(醍醐寺三宝院)

醍醐寺には以前訪れたることあれど、その折には三宝院に立ち入らざりき。この日は逆に、醍醐寺の本堂構内には立ち入らず、もっぱら三宝院の庭を見たり。この庭は秀吉により作られたるものにて、桃山時代の様式を伝ふるものとして貴重な遺構なる由。

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