上村松園(1875-1949)は、明治以降の近代日本画の礎石を築いた画家の一人と評価される。決して日本画全体を代表するようなものではないが、これがなければ日本画が物足りなく感じるであろうことは誰もが認めるだろう。日本画の主流は横山大観ら、狩野派をはじめとした日本画の伝統を踏まえたものだったが、松園は鏑木清方とともに、風俗画風の美人画に新しい境地を求めた。美人画は徳川時代に既に、浮世絵としてある程度の完成を見せていたが、松園や清方によって、本格的日本画の中心に躍り出たのである。以後美人画は、日本画の有力なジャンルとして発展していく。
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