日本の美術

雪舟の山水長巻(一)

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今日「山水長巻」として知られる雪舟の四季山水図巻は、何点か伝わっている雪舟の山水図巻の最高傑作であるとともに、雪舟の画業の頂点をなすものだ。縦四十センチにして十六メートルにも及ぶこの長大な図巻のうちに、雪舟は己の画法の粋を注ぐとともに、絵を通じて己の人生観のようなものを表現して見せた。あらゆる意味で、雪舟の雪舟らしさが集約された作品といえる。

花鳥図屏風(左隻):雪舟

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花鳥図屏風の左隻は冬景である。左側の前景に雪をかぶった梅の木を配し、遠景に白い雪山を展開させて、そこに溶け込ますようにして、白鷺と鴨を描いている。鴨は泳いでいるので、当然凍っていない水の上だ、雪山も湖沼も白く描かれている為に、その境界がはっきりしないが、そのはっきりしないところが、冬の雰囲気をよく出している。

花鳥図屏風(右隻):雪舟

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雪舟筆と伝えられる図屏風が二十点ほど伝わっている。そのうちの何点が真筆かどうか、確定はしていないが、趣向や筆致などから雪舟真筆の可能性が非常に高いものが何点かある。ここに紹介するのはそのひとつで、雪舟らしさが指摘されている。

益田兼尭像:雪舟の肖像画

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雪舟には、肖像画が四点伝わっている。いずれも大和絵風の画風に従って描かれたもので、そのうちの三点は鮮やかに彩色されている。肖像画は、鎌倉初期に写実的なすぐれた作品が生まれたあと、長く停滞気味であったが、雪舟は大和絵の画法によりながら、質の高い作品を生み出した。

雪舟の山水図

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この山水図には、朝鮮人李孫及び朴衡文の賛がある。この二人は、文明十一年(1479)の朝鮮通信史の一員として来日したので、その折に賛を寄せたのだと思われる。この頃雪舟は、周防の大内氏に身を寄せていたが、朝鮮通信史の一向も、京の兵乱を避けて周防に寄り、その際に雪舟のこの絵を見て、賛を寄せたのだろう。

冬景山水図:雪舟

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「冬景山水図」は、「秋景山水図」と対をなすものであり、ともに雪舟の最高傑作に数えられる。なかでもこの「冬景山水図」は、構図と言い筆致といい、特に完成度の高い作品である。左上に「雪舟」の落款と「等楊」の押印があるが、これはもともとの形であったと思われる四幅一組の左端に配したものであろう。

秋景山水図:雪舟

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「秋景山水図」及び「冬景山水図」は、もともと四季山水図四点のうちの二点だったと考えられる。この二点は、「山水長巻」と並んで雪舟の最高傑作というに相応しい作品だ。画法的には、若年時の技法や中国からの影響を脱して、雪舟独自の境地を切り開いた記念碑的な作品と言える。

山水図屏風(右隻):雪舟

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山水図屏風の右隻は、左隻と連続しているわけではないが、図柄としては、同じような雰囲気のようなものを並べ、左右一体で調和を醸し出している。

山水図屏風(左隻):雪舟

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雪舟としてはめずらしい六曲一双の図屏風形式の山水画である。一応伝雪舟という扱いになっていて、真筆とは断定されていないが、真筆の可能性は非常に高いとされる。落款に「備陽雪舟筆」とあることから、文明六年(1474)頃の作品と思われる。この時期に雪舟は、山水小巻を描いており、筆致に共通するものがあると指摘される。両者とも、行体画だということで、全体としてやわらかい印象が特徴である。

雪舟の山水小巻

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現在山口県立美術館が保存する雪舟の山水図巻は、毛利博物館所蔵の山水図巻が「山水長巻」と呼ばれているのに対比して「山水小巻」と呼ばれる。長巻に比べてもともと高さも幅も短かったことに加え、現存するものは、原本を二つに裁断したものの前半に過ぎないからだ。

黄初平図(倣梁楷):雪舟

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梁楷は、南宋の宮廷画家として活躍した人だが、宮廷の雰囲気とは正反対の、禅味を思わせる渋い絵を描いた。その渋さが日本の禅僧たちに受け、禅寺ではもてはやされたという。禅僧の端くれだった雪舟も、梁楷には親しみを感じたに違いない。

倣李唐牧牛図:雪舟

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李唐は、北宋末から南宋はじめにかけて活躍した画院画家で、南宋画の先駆者の一人として位置づけられる。雪舟は、夏珪らとならんで、李唐の画風も吸収しようとして、ここにあるような模写を行った。

雪舟の山水図巻(秋冬)

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(山水図巻秋)

山水図巻の画面は、季節ごとに均等に割り振られているわけではない。秋と冬はあわせて全体の四分の一程度である。これは夏珪の原作がそうだからか、あるいは雪舟の独自の配分なのか。日本人が秋がすきなのは雪舟の時代も変らぬと思うので、おそらく原作の構成に左右されたのではないか。

雪舟の山水図巻(春夏)

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(山水図巻冒頭部分)

帰朝後の雪舟は、図巻形式の山水図をいくつか描いた。文明三年の「倣夏珪山水図巻」をはじめとして、山水図巻(京都国立博物館)、山水小巻、狩野探幽模「山水図巻」などである。それらはいづれも、横長の画面に四季の風景の変化を順を追って描いているというもので、山水画を日本古来の図巻形式で表現しようとしたものだ。雪舟以前の室町時代の山水画は、軸のような縦長の画面で表現するのが普通だったが、雪舟はそれを意図的に横長の画面に移し変える試みを行ったのである。

雪舟の倣夏珪山水図

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(夏景山水図<倣夏珪>)

雪舟は在明中に中国画に学ぶ一方、著名な画家の絵を求め、それを携えて日本に戻った。そしてそれらの絵を模倣しながら、自分の画風の確立に努力した。雪舟が模倣した画家は何人かあるが、中でも夏珪は最も強い影響を雪舟に及ぼした画家であった。南宋時代の画院画家で、南宋院体の代表的な作家と目されている。日本にも「雨景山水図」などが今に伝わっている。

四季山水図(冬):雪舟の山水画

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四季山水図(ブリジストン美術館蔵)四幅のうち冬図。このシリーズの絵の中では、構図がもっとも安定している。空の余白の部分は少ないが、その分背景の山と前景の景色との調和が画面を安定させている。左上の空の余白と右下の水の部分とが対応しているところも、構図の安定に役立っている。

四季山水図(秋):雪舟の山水画

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四季山水図(ブリジストン美術館蔵)四幅のうち秋図。東京博物館蔵の四季山水図秋図が、画面中央の広い部分に雲煙を配し、それで以て画面を上下に二分しているのに対して、これは背景の山と前景の自然とを近接させて、しかも明瞭な線で描かれている。

四季山水図(夏):雪舟の山水画

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四季山水図(ブリジストン美術館蔵)四幅のうち夏図。東京博物館の四季山水図夏図と比較すると、その相違が大きいことがわかる。まず構図。後者は画面上部の中ほどに、背景として岩山を配し、その前面に近景として山里を描いていたが、こちらは、画面中ほどから左手方向に絶壁を配し、その絶壁の真下に山里を描いている。また、後者には雲煙があるのに、こちらはそうしたものはなく、すっきりと描かれている。

四季山水図(春):雪舟の山水画

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ブリジストン博物館所蔵の四季山水図四幅は、落款や押印がないが、雪舟の真筆と断定されている。同じく四季山水図でも、東京博物館所蔵の在明中のものに比べて、一回り小さい。製作時期は、画風に中国の影響が見られるところから、帰朝後間もない時期に描かれたのだと考えられる。

四季山水図(冬):雪舟の水墨画

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四季山水図四幅のうちの冬図。峨々たる岩山を背景に山里の寒々とした風景を描いている。背景の岩山も左手前景の岩山も雪をかぶって白くなり、山里の家々も雪に埋もれて沈黙の風情をかもし出している。四季山水図四幅のなかでは、もっとも日本的な雰囲気を感じさせる。

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