日本の美術

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池大雅の十便図から「樵便」図。もとになった李漁の漢詩「伊園十便」のうち「樵便」は次のとおりである

  臧婢秋來總不閒  臧婢秋來總て閒かず
  拾枝掃葉滿林間  枝を拾ひ葉を掃ふ滿林の間
  抛書往課樵青事  書を抛って課に往く樵青の事
  步出柴扉便是山  柴扉を步み出れば便ち是れ山

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池大雅十便図から「課農便」図。もとになった李漁の漢詩「伊園十便」のうち「課農便」は次のとおりである。

  山窗四面總玲瓏  山窗四面總て玲瓏
  綠野青疇一望中  綠野青疇一望の中
  凴几課農農力盡  几に凴りて農を課せば農力盡く
  何曾妨卻讀書工  何ぞ曾て讀書の工を妨卻せん

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池大雅の十便図から「吟便」図。もとになった李漁の漢詩「伊園十便」のうち「吟便」は次のとおりである。

  兩扉無意對山開  兩扉意無くして山に對して開く
  不去尋詩詩自來  去らずして詩を尋ぬれば詩自づから來る
  莫怪囊慳題詠富  囊慳を怪しむ莫れ富に題詠するを
  只因家住小蓬萊  只だ家住の小蓬萊たるに因るのみ

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池大雅の十便図から「釣便」図。もとになった李漁の漢詩「伊園十便」のうち「釣便」は次のとおりである。

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池大雅の十便図から「灌園便」図。もとになった李漁の漢詩「伊園十便」のうち「灌園便」は次のとおりである。

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池大雅の十便図から「浣濯便」図。もとになった李漁の漢詩「伊園十便」のうち「浣濯便」は次のとおりである。

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池大雅の十便図から「汲便」図。もとになった李漁の漢詩「伊園十便」のうち「汲便」は次のとおりである。

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十便十宜図のもととなった李漁の詩「十便十二宜」のシリーズには、全体の序文と言うべきものがある。この小文を大雅は、「耕便」図の右端に掲げており、それに接して、「耕便」の詩文を書き入れている。

池大雅と与謝蕪村は、徳川時代の文人画を代表する二代巨匠と呼ばれる。この二人はどちらも武士の出身ではなく、また生涯を通じて画風が変化したことなどを踏まえると、彼らを文人画家とするにはためらいがないわけではない。だが徳川時代中期を代表する画家には違いない。二人とも、大名や大寺院のお抱え画師ではなく、独立した職業画家として成功した日本最初の画家だったと言ってよい。そんなわけで、出自や経歴、画風などに共通点があり、互いに意識したであろうことが想像される。実際、彼らは同一のテーマで、絵の連作を試みている。「十便十宜図」と呼ばれる、一冊の画帖の製作がそれだ。

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「鷲図」は、海に突き出た岩の上にとまっている鷲を描いたもの。肩をいからせた鷲の表情は精悍そもののであり、鶏や小禽類とはまた異なった趣を感じさせる。白黒の明暗対比がはっきりしていることも、この絵の峻厳なイメージを強めているようである。

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伏見人形とは、京都伏見稲荷大社付近の土を焼いて作った焼き物の人形。下地に胡粉を塗って白くし、その上から泥絵の具で模様を描くのが特徴である。この絵は、七人の布袋の人形が縦に並んだところを描いたもの。これを横に並べた絵も残っている。

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「松鷹図」は、松の枝に止まった一羽の鷹を描いたもの。鷹は、背景の部分を墨で薄く塗ることで、白く浮かび上がらせるようにしている。一方、羽や腹の部分は、細い線や点でアクセントをつけており、若冲のほかの動物たちとは、かなり違った印象を与える。

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「鯉魚図」は、水面から出て飛び跳ねる鯉を描いたもの。全身ではなく半身なのは、鯉の動きの躍動感を強調するためと思われる。鯉は頭を上に持ち上げ、前鰭を前方に伸ばして、大きく跳躍しようとしている。鯉の下の水面は、鯉の動きによって波しぶきを立てている。そうした躍動感が如実に伝わってくる。

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「芭蕉雄鶏図」は、芭蕉を背景にして雄鶏を描いたもの。筋目描きといって、面と面の間を白抜きすることで、線の部分を筋目のように浮かび上がらせる手法を用いている。岩絵の具ならば胡粉で白い筋をつけるのが可能だが、水墨画ではそういかないので、白抜きの技法が有効なわけである。

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図屏風は多くの場合、六つの面(扇という)で一組のものを、二組作って一対とする。それを六曲一双と称した。しかして向かって右側を右隻、左側を左隻といった。この絵は、「鳥獣花木図屏風」の左隻である。

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プライス・コレクションにとどまらず若冲の画業全体の中でももっとも光るのがこの「鳥獣花木図屏風」一対だ。この図屏風を若冲は、桝目描きという特殊な技法で描いた。桝目描きというのは、画面を一センチ四方の枡に区分けし、その一つ一つを絵の具で塗っていくというものである。織物の図案である正絵の技法を取り入れたとも、朝鮮半島の紙織絵の影響だとも言われている。詳しいことはわかっていないようだ。

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「群鶴図」は、七羽の鶴が重なりあって立っている様子を描いたものである。かなりもつれあっているので、頭と胴体や脚との関連がよくわからないところがある。頭を数えるとかしかに七羽分あるのだが、見えている脚は九本しかない。五本あるはずの残りの脚は、持ち上げられて隠れているのだろうか。

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「竹梅双鶴図」は、二本の竹と花をつけた梅を背景に二羽の鶴を描いたものである。鶴は頭頂が赤いところから丹頂鶴とわかる。丹頂鶴は雌雄同系同色なので、どちらがオスでどちらがメスか、この絵からはわからない。おそらく首を下に向けているほうがオスで、その背後から首を伸ばしているのがメスではあるまいか。

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「雪芦鴛鴦図」は、動植綵絵の「雪中鴛鴦図」とよく似ている。背景に雪のまとわりついた植物(片方は柳の枝、こちらは芦)を配し、メーンテーマには一対の鴛鴦を描いている。しかも鴛鴦は、相互の位置関係を除いては、両図とも殆ど同じ形をしている。

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「紫陽花双鶏図」は、動植綵絵の「紫陽花双鶏図」と構図がよく似ており、雄鶏は羽の色が異なるほかは全く同じ形をしている。雌鳥のほうは、違う形で描いており、この絵のなかのものは、雄鶏のほうへ向かって後ろ向きに顔を曲げている。また、雄鶏の鶏冠は、動植綵絵においては赤く塗りつぶされておるのに対して、こちらのは、小さな点で埋め尽くされている。

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