世界情勢を読む

国連本部で行われていた核不拡散条約(NPT)の再検討会議が、最終文書を採択できず決裂した。前回に続いての再度の決裂である。このことについて、NATO諸国を始めとした西側は、ひとえにロシアの責任だといって非難しているが、それは一方的な言い分だろう。この決裂は、今日世界が陥っている深刻な分裂を反映しているのであり、その分裂の責任は、ひとりロシアのみならず、アメリカをはじめとした西側諸国にもある。

人間の寿命が飛躍的に伸びたおかげで、老人が政治を牛耳る眺めが日常のものとなった。老人が政治のかじ取りをすること自体、絶対悪というわけではないが、しかし近年の世界の混乱ぶりを見ていると、その原因のほとんどは老人にあることがわかる。その老人たちの振舞いぶりをみていると、ボケているとしか思えない。ボケた老人たちに勝手なことをさせて、地球の命運があやしくなっているのは、看過できないことだ。

今般のウクライナ戦争では、当初ロシア軍の圧倒的優勢が伝えられ、その勝利は揺るぎないものと思われていた。しかし戦争が始まってすでに三か月たったいま、ロシア軍は圧倒的な勝利を収めるどころか、各地で苦戦を強いられ、一部では劣勢が伝えられている。中には、ロシアの敗北を予想するものまでいる。これは大方の予想に反した意外な事態と受け止められているが、小生はありうることだと思っていた。その理由は、ロシア軍が攻撃的な戦争を得意としていないことにある。二つの面で、ロシア軍は攻撃的な戦争には向いていないのだ。一つはロシア人の国民性に根差している。もう一つはロシア軍の伝統的な作戦思想に根差している。

ウクライナへの侵攻がうまくいかないのは、NATO諸国が事実上ウクライナの側にたって参戦しているからだとして、場合によっては核兵器の使用も辞さないと、プーチンが恫喝的な発言をしている。もし、実際プーチンが核兵器を使用したら、バイデンとしてはどうするつもりか。バイデン政権はすでに、その事態を想定したシミュレーションをしているそうである。

ロシア軍によるウクライナへの侵攻に怒り心頭のバイデンが、プーチンを戦争犯罪人の人殺しと呼び、この惨事にかかわる責任はプーチン個人が負うべきだと主張した。バイデンはこういうことで、プーチンが打倒されない限りこの問題の解決はありえないと言っているわけである。その一方、アメリカは軍事介入する意思はないという。NATOもそれに右へならえしているから、プーチンが外国の力によって打倒されることはない。もしかしてプーチンを打倒するものがあるとして、それはほかならぬロシア国民以外にはないだろう。つまりロシア国民が自国の大統領を権力の座から追わない限り、この問題の解決はないということだ。

ウクライナの戦線でロシア側の将軍たちが次々と殺害されているという。これまで4人の殺害が確認されている。ウクライナ戦線におけるロシア側将軍の定数は20人というから、その二割が殺されたということで、軍事的にはかなり異常な事態である。

プーチンのウクライナ侵攻をうけて、アメリカおよびNATO諸国がロシアへの厳しい制裁に及ぶ中、ドイツもロシア制裁に踏み切った。これは第二次世界大戦後、国際政治にもっとも巨大なインパクトをもたらすと予想される。場合によっては、独ロ対立がエスカレートするあまり、世界大戦に発展しかねない危険をはらんでいる。

プーチンがウクライナへの侵略を公然と始めた時、トランプはそれをほめたたえた。プーチンは天才で、かしこいと言ったのだった。これには、今年中に中間選挙を控えている共和党の議院連中から苦情が出た。プーチンの尻を舐めるようなマネはやめてくれ。と。それを受けてトランプは、一旦その発言を取りさげて、かえってウクライナを激励したほどだったが、またもや初言の精神に立ち戻り、プーチン礼賛の言葉を垂れ流している。つまりプーチンの尻を舐め続けているわけだ

プーチンがウクライナへの侵攻を始めた。新ロシア勢力のウクライナからの独立を承認し、その独立国家の平和を保証すると称して、公然たる介入を始めたのだ。それに対してNATO諸国は有効な対応ができていない。せいぜい経済制裁をちらつかせているくらいだ。そんなことでプーチンの野望を砕くことはできぬ。

米共和党が、昨年1月6日に起きたトランプ支持者による連邦議会襲撃を「正当な政治的言動」と宣言し、トランプの責任を追及してきた二人の共和党議員、リズ・チェイニーとアダム・キンジンガーを非難する決議を出した。ソルトレークシティで催された会議の席上、真剣に議論された形跡はなく、また、これに反対する意見を述べた議員もいなかったという。つまり共和党の総意として、以上のような宣言が出されたということだ。

米英豪の三カ国が新たな防衛協力AUKUSを結び、その目玉政策として米英が豪に原潜の技術供与(原潜の売却を含む)をすることになった。それに伴い、豪はフランスとの間に結んでいた原潜購入契約を一方的に破棄した。これにフランスが激怒し、米豪から大使を呼び戻す事態に及び、今回の米豪の措置は世界の安全保障に深刻な影響を及ぼすと警告した。

トランプの最後の日々に、米軍のトップが踏み出した行動が大きなセンセーションを巻き起こしている。統合参謀本部長のマーク・ミリー将軍が、全米軍に対して、中国への核攻撃を命ずるトランプの命令には、自分の介入なしには一切従うな、と指令していたというのだ。これはワシントンポストへの寄稿者ウッドワードが近いうちに出版する本の中で明らかにしたことだが、その報道が伝わると早速大騒ぎとなった。まず当のトランプが怒りを爆発させ、いまは自分でやれることはないので、共和党の議員達に対して、ミリーを訴追して、反逆罪で裁けと喚きたてた。

米テキサス州議会が、堕胎を実質的に違法化する法律を制定したことについて、連邦最高裁が合憲の判断をした。同じような動きは南部を中心とした各州にもあるので、今後全米的な規模で、堕胎の非合法化が進む可能性が強い。

アメリカが、ISのテロで米兵が死んだことへの報復と称して空爆を行い、幼い子供を含む多数の民間人がそれに巻き込まれて死んだ。死んだ人には何の罪もない。アメリカはこうした殺害行為について、責任を取ろうとしていない。一応遺憾の意は表しているが、謝罪も保証もしないだろうことは、これまでのアメリカの姿勢から十分予想される。アメリカには、自分のしていることは絶対に正しいという自信というか思い込みがあるからだ。アメリカはアメリカの正義に基づいて行動する。その正義の前では、アフガン人の命など芥子粒ほどの重みもないということだろう。

アフガニスタンでの混乱の報道に日々接して、バイデン政権のだらしなさを実感しているのは小生だけではあるまい。アフガニスタンからの撤退方針そのものには一定の合理的理由があったと思うが、しかしやり方がでたらめだ。情勢判断が全くできていないためだ。自分勝手な思い込みだけで、相手側のことを何も考えていないから、タリバンに簡単にしてやられたというわけだ。

元ブッシュ政権の国防長官としてアメリカの対イラク侵略戦争を主導したラムズフェルドが死んだ。そこで日本のメディアを含め各国のメディアが論評を出しているが、ほとんどが否定的な評価を下している。事実に基づかず、勝手な思い込みで外国を侵略したあげく、その国つまりイラクを破滅的な混沌に追いやったというような評価だ。そうした論評の中には、ラムズフェルドの人間性を疑うものもある。ラムズフェルドは自分の犯した行為の意味を理解できず、したがって反省することもなかった。だから彼は、いわば、「気違いに刃物」ということわざを体現するような男だ、ととりあえず日本人ならそう言うところだろう。気違いは自分の行為に責任を負うことはないから、何でも好き勝手なことができる。だからその気違いに因縁をつけられたイラクは、天災に見舞われたと思うほかはないだろうというわけである。

トランプがアメリカ大統領に選出されたとき、世界中が驚いた。だが、それはバイアスのかかった目で見たからであり、事実を虚心に受け取っていれば、十分予測できたことだと言われもする。2016年のアメリカには、トランプを大統領に押し上げるような要因があったのであり、トランプはなるべくしてなった、という見方も出来る。金成隆一のルポルタージュ「トランプ王国」は、そうしたアメリカの動きについて、アメリカ国民の懐に飛び込むかたちで、生々しく描き出している。

米共和党の連邦下院議員十数名が、バイデンに対して認知症テストを要求する書類にサインした。この書類を作成したのは、かつてトランプの公式主治医だったロニー・ジャクソン。ジャクソンはバイデンの公式主治医であるケヴィン・オコナーと医療アドバイザーであるアンソニー・ファウチに対して、バイデンに認知症テストを施すよう求めた。理由は、アメリカ国民には、大統領の知的適格性を知る権利があるというものだ。

イギリスで開催された今年のG7は、アメリカのバイデン政権の強い意向に引きずられる形で露骨な対中包囲網形成への意思をあらわにした。バイデンの対中政策は、人種的な偏見を伴なったもので、19世紀末から20世紀初頭のアメリカで吹き荒れた黄禍論の再現といった様相を呈している。その時代には西洋列強による中国に対する帝国主義的な干渉・侵略が進んでいたわけだが、そうした帝国主義的な対中政策も、今回のG7には認められる。今は古典的な帝国主義がまかり通る時代とは言えなので、G7の対中政策は、時代遅れの帝国主義と言わねばなるまい。

韓国で元徴用工の遺族らが日本企業に対して損害賠償を求めた裁判に関して、ソウル地裁が原告の訴えを却下した。そのこと自体は、日本側は評価し、また韓国内でも法理論的に支持する意見もあるようだが、司法制度の基本的なあり方から照らしてみると、異様といわざるをえない。

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