世界情勢を読む

世界中を震撼させたウクライナ航空機の爆破は、イラン軍によるものだと明らかになった。アメリカのロケット攻撃と勘違いしたイラン軍が、ミサイルで迎撃したということらしい。それ自体に問題があるが、もっと問題なのは、この事態がイラン軍の実力を物語っているということだ。イラン軍は、イラクの米軍基地にもミサイルを命中させたが、軍事専門家によれば、命中の精度はかなりかなり高かったという。この二つを通じて、イラン軍の実力が、思っていた以上に高いということをアメリカは知らされたに違いない。

カルロス・ゴーンが日本を脱出してレバノンに逃れていたというニュースが入って来た時、大方の日本人は、日本という国がコケにされたと思っただろう。それに加えて、ゴーンが逃亡先で記者会見を開き、自分の無実を弁明したとあって、日本の司法当局は二重にくやしい思いをしただろう。なにしろ完璧に裏をかかれて逃げられ、国の威信を傷つけられたうえに、記者会見まで開いて言いたい放題なのに、自分たちにはなにもできることがないからだ。こんなに面目つぶれのことはない。

トランプの命令で、米軍がイラン軍の将軍を殺害したことで、一気に緊張が高まっている。全面戦争に発展する可能性さえ指摘されている。トランプはこの時期になぜ、このような冒険をしたのか。色々な臆説が流れているが、中には、トランプは自身に対する弾劾裁判から、国民の目をそらせようとして、この挙に及んだとする説もある。小生も、ありうることだと思う。

QAnonとその支持者たちのSNS上のメッセージに対して、最近トランプが頻繁にリツイートをしていることが話題になっている。QAnonというのは、2017年10月以降登場したSNSアカウントのことで、極右の立場からトランプを応援し、トランプの批判者を集中攻撃しているものだ。その極端でかつ暴力的な傾向から、FBIも「国内テロ組織」としてマークしているという。そんなものを何故トランプがリツイートして応援するのか。

先日安倍総理が、インドのモディ首相との間で予定していた首脳会談を中止したが、理由は治安が極度に悪化していることだと伝えられた。治安を悪化させているのは、インド各地で沸き起こっている政府への抗議デモだ。特に首都のニュー・デリーでは、デモの規模は大規模なものになっている。その理由は、モディ政権が進めているヒンドゥ・ナショナリズムというべき政策にある。この政策は、ヒンドゥ教徒を優遇する一方、イスラム教徒を差別するもので、差別された形のイスラム教徒が抗議デモとか暴動騒ぎを引き起こしている形だ。

アメリカの宗教勢力のうちでも最も規模の大きい福音派は、トランプのコアな支持層として知られている。歴史的にみても、福音派はアメリカの政治に大きな影響を及ぼしてきた。この宗派は、二・三十年ごとに宗教的な高揚を示し、そのたびごとに宗教親和的な大統領の誕生に寄与してきた。ロナルド・レーガンを大統領にしたのもこうした福音派の宗教的感情の高揚だったのであり、その宗教的高揚がトランプを大統領にしたわけなのだった。

先日トランプの発した大統領令が物議をかもしている。これはユダヤ人を人種に基づいて定義したもので、人種としてのユダヤ人の保護を目的としたものだと説明されているが、それについてほかならぬユダヤ人コミュニティが強く反発しているのだという。その理由は、この大統領令が、かえって反ユダヤ主義(Anti-Semitism)を煽るというのだ。なぜそうなるのか、小生にはわからぬことが多い。

イギリスで総選挙が行われ、ボリス・ジョンソン率いる保守党が、サッチャー時代以来の、地滑り的といってよいほどの勝利を収めた。これで懸案となっていたブレグジットが実現する運びになる。決められないイギリス政治が、やっと決められるようになったと歓迎する向きがある一方、ブレグジットによって生じる混乱を懸念する意見もある。いずれにせよ、ボリス・ジョンソンが勝利したという認識が支配的だが、小生などは、コービンの労働党がオウンゴール的な形で敗北したと見る方がよいのではないかと考えている。なにしろ労働党の負け方は半端ではないのだ。

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米誌TIMEが恒例のPerson of the Yearに、今年はスウェーデン人の16歳の少女グレタ・トゥンベリを選出した。彼女は、先日の国連集会の場で、地球の存続のために人類が立ち上がることを訴えて一躍世界の注目を浴びた。だが彼女のそうした活動は、急ごしらえのものだったわけではなく、何年も前から行ってきた活動の集大成だったということだ。つまり彼女は、年少にかかわらず、筋金入りの活動家なのである。その彼女を小生などは、今年のノーベル平和賞にもっともふさわしい人と考えていたが、最近のノーベル財団は、目がきかなくなったと見えて、彼女を選出することはなかった。TIMEが彼女を今年のPerson of the Yearに選出したことは、TIMEの良識を感じさせる。

世論調査で定評のあるアメリカの調査機関ピュー・リサーチ・センターが、中国の国家イメージに関する世論調査を世界34か国で実施した。それによれば、中国が嫌いだと答えたアメリカ人は60パーセント、同じく日本人は85パーセントだったそうだ。アメリカの隣国であるカナダでも、67パーセントの人が中国を嫌いだと答え、ヨーロッパ諸国でも中国のイメージは悪かった。スウェーデンは70パーセント、フランスは62パーセントの人が中国に否定的だった。

ネタニヤフが収賄罪など三つの罪状で起訴された。これに対してネタニヤフは強い対抗心を見せている。イスラエルの法律では、首相を含め公職者は、起訴されたら職を辞任しなければならない決まりになっている。しかしネタニヤフには、そんな法律を守る気はないようだ。自分に対する起訴をクーデタだと決めつけ、起訴した連中を逆に起訴してやると息巻いている。クーデタに対する対抗(カウンター)クーデタを起してやるというわけだ。

トランプ政権のポンペオ国務長官が、イスラエルによるヨルダン川西岸の入植地を容認する宣言を出した。これまでのアメリカの歴代政権が、ヨルダン川西岸のイスラエルによる入植活動は、中東和平にとって障害になるという姿勢をとってきたものを、トランプ政権がそれをひっくり返す形で、イスラエルの入植地を認めることは、将来的にヨルダン川西岸がイスラエルに併合されることを認めたと受け取られる。いうまでもなくヨルダン川西岸へのユダヤ人の入植は、イスラエルによるパレスチナ侵略の中核をなす不法行為である。それを容認することは、強盗に追い銭を与えるようなものだ。

米誌TIMEが、恒例の Next100(影響力ある100人) に、日本の政治家小泉進次郎を選んだ。理由は、日本憲政史上最長の在任期間を誇る安倍晋三総理大臣の後継者として、これからの日本をリードする存在だということだ。なんといっても日本は、まだ一流国の仲間と認定されているから、その指導者となるべき人物は、国際的に見ても影響力のある政治家と認定されるわけだ。

今年のノーベル平和賞は、エチオピアの現職首相であるアビーに付与されることになった。理由はアフリカの平和に貢献したということだ。ところがエチオピアでは、アビーの強権的な政治に反発する人が多くいて、それらの人々がアビーの退陣を求めてデモを行ったところ、治安部隊が出動して、67人の死者が出る惨事となった。ノーベル平和賞とこのデモとの関連は、いまひとつはっきりしないが、エチオピアの反アビー勢力が、アビーがノーベル賞を受けることを喜んでいないことだけは確かだ。そんなことから、ノーベル平和賞がアビーに授与されることが、結果としてこの惨事をもたらしということも、否定できないようである。ノーベル平和賞が、アビーの強権政治を合理化するのを許せないというわけであろう。

仮想通貨といえば、とりあえず思い浮かぶのはビットコイン。いまのところビットコインに代表される仮想通貨は、金融の末端として位置付けられているが、そのうち金融の仕組を根本的に変えるかもしれない。フェースブックが計画しているリブラなどは、もし実現したら、貯金や金融決済の有力な担い手として、既存の金融秩序に割って入り、場合によっては、それに置き換わる可能性も論じられている。

トランプ弾劾に向けての米議会下院での調査が進行しているが、つい最近まで、下院による弾劾は成立しても、上院での弾劾裁判でトランプが大統領を罷免されることはありえないというのが、大方の観測だった。ところが、この二・三日の間に情勢が急転し、もしかしたらトランプ罷免はありうるかも、という憶測が公然と語られるようになった。

トランプがウクライナの大統領ゼレンスキーに対して、最大の政敵であるバイデンを標的にして、自分の再選に都合のよいように、バイデンを犯罪者に仕立て上げるべく捜査介入をするよう圧力をかけた、いわゆるウクライナゲート事件が、下院による弾劾調査手続きの開始に発展した。トランプはこれまでにもさまざまな疑惑に包まれてきたにかかわらず、ことごとく乗り切って来た。それが今回はいよいよ弾劾の手続きに直面する可能性が高くなったわけだ。ことの影響度からいえば、ロシアゲートのほうが上回っていると思われるのだが、そのロシアゲートがうやむやになって、ウクライナゲートが脚光を浴びることには、なにか理由があるのか。一外国人である小生には、いまひとつわからないことが多い。

フランスで行われた今年のG7サミットは、従来恒例だった共同声明の作成・発表を見送った。アメリカのトランプと、ヨーロッパ諸国の指導者との間で意見の隔たりが大きく、一致した見解をまとめることができなかったためだ。それにはトランプの一国主義が作用している。トランプは、昨年も一国主義の立場から、カナダが中心に作成した共同声明に異議を唱えたが、今年はその作成自体をボツにさせたわけだ。

トランプの激しい人種差別攻撃は、ボルティモア選出の黒人議員カミングズに向けられ、トランプはカミングズなみならず、彼を連邦議員に選んだボルティモアまで、口汚く攻撃した。ボルティモアは不潔な町で、鼠だらけであり、まともな人間の住むところではないというのだ。これは、坊主憎けりゃ袈裟まで憎しのたぐいなのだろうが、罵られたボルティモアの人びとは心穏やかではないだろう。人種差別主義者としていまや自他ともに認めるトランプだが、なにしろアメリカ合衆国の大統領なのだ。その大統領からこんなふうに罵られたら、誰でもいい気持ちがするはずはない。

トランプのレーシズムはいまに始まったことではないが、最近は人種差別的言動が一段とヒートアップしている。先日は、非白人の女性国会議員四人に対して、自分がそこからやってきた国へ帰れと言った。それがあからさまな人種差別だというので、下院が非難決議をしたところ、下院が民主党優位であることを引き合いにして、民主党のペテンだと罵って平然としている。また、自分を批判するメディアに対しては、フェイクニュースだといって取り合わない。

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