六年ぶりのWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が盛り上がっている。一次リーグの会場の一つが日本の東京ドームだったこと、そして日本チームが非常な活躍を見せていることが、その要因だ。小生もまた、その熱気に促されるようにして、準々決勝の対イタリア戦を、テレビ中継で見た次第だ。ご案内のように、日本チームは圧倒的な強さを見せてくれ、また、大谷やダルビッシュ、そして他の選手のすばらしいプレーを堪能することができた。
日本の政治と社会
奄美大島から与那国島にかけての南西諸島に、長距離ミサイル拠点が整備され、対中戦争に備えて軍事力の強化が進められている。この島々は、中国が独自に設けている防衛線上に位置しているが、日米同盟にとっては中国攻撃の重要拠点となるものだ。日本はいままで空母を持たなかったが、これら島々が空母と同様の機能を果たせることとなる。しかも沈まない空母、不沈空母だ。
小泉純一郎元首相は、福島原発事故以来原発ゼロを叫んできたが、最近はその声が途絶えがちのように見えた。ところがこのたび、岸田政権が原発回帰の姿勢を露骨に示したことに反応して、雑誌「世界」のインタビューに応じた。「世界」はずっと一貫して原発に批判的なスタンスをとってきたので、岸田政権の原発回帰に危機感を覚え、小泉純一郎と助っ人と頼んで、引っ張り出したのだろう。
雑誌「世界」の最新号(2023年4月号)に、「またも提案?入管法改定」と題した座談会の筆記が掲載されている。今国会に提出された入管法改定案をめぐるものである。イラストレーターの金井真紀、弁護士の児玉晃一、作家の木村友祐が参加している。いづれも何らかの形で難民問題と入管行政にかかわっているということらしい。この三人の口火を切って金井が、「二年前の2021年、多くの市民やメディアが抗議してようやく廃案になったのに、何食わぬ顔をして同じ改定案をまた出してくるとは、ふざけるなという感じですね」と言っている。
総務省が作成したという文書(いわゆる放送法文書)をめぐって大きな騒ぎになっている。この文書は、メディアの報道姿勢をめぐって自民党政権が圧力をかけた経緯をまとめたものらしいが、当初はそれを怪文書だとかいって否定していた政治家が、総務省自体がそれが公文書であることを認めるや、一転して「捏造」だと言い出した。もし捏造でなかったら議員をやめるとまで言い切ったので、世間ではこれを面白がってはやしたてる始末である。
徴用工問題をめぐる日韓の対立に「決着」がつきそうである。韓国の尹錫悦政権が、韓国の大法院が日本企業に命じた賠償金を韓国側で肩代わりする一方、日本側では、植民地支配への「反省とおわび」を盛り込んだ歴代内閣の歴史認識の継承を確認するという条件での決着である。これは日本にとっては都合のいいことなので、岸田政権としては異存はないだろう。「反省とおわび」は、植民地支配に対する包括的な声明であって、徴用工問題について直接述べたものではない。日本としては、従来の立場を確認しただけで、新たなアクションをおこしたことにはならない。だからこの「政治決着」は、韓国側の一方的な撤退であって、日本としてはなんらの痛みも伴わない。
岸田政権によって日本は敵基地攻撃能力を持つことができるようになり、また、軍事費の倍増にも見通しがついた。あとは仮想敵国に対してその攻撃能力を発揮するだけの段取りにいたったわけだ。それには人的な資源が必要になる。岸田政権は目下、自衛隊への志願兵をもって戦うことを想定しているようであるが、しかし、(仮想ではなく)現実に中国を敵として戦うには、志願兵だけでは間に合わないだろう。対中戦争を有効に戦うには、なんとしても徴兵制の実現が不可欠である。
2022年に生まれた子どもの数は79万人台で、統計上はじめて80万人を割り込んだという。これは外国人を含んだ数で、日本人だけだと、76万人台になる可能性があるそうだ。40年前の出生数が約151万人だったので、わずかの間にほぼ半減したことになる。急速に縮んでいるのである。
雑誌「世界」の最新号(2023年3月号)に、農山村政策をめぐる最近の動きについて解説した記事が二つ載っている。一つは、「新しい『農山村たたみ論』(小田切徳美)、もう一つは「農業集落調査『廃止運動』の教訓」(戸石七生)である。前者は、過疎化する農山村地域を、都市部に集団移住させるという政策提起への批判であり、後者は農林水産省が率先して「農業集落調査」の廃止を画策していることへの批判である。
「ひろゆき」なる人物について、小生はそれが悪名高い掲示板サイト「2チャンネル」の創始者であることくらいしか知らないし、また知りたいとも思わなかった。時折ネット上で炎上する言動をして満足しているらしい人間と、かかわりたくもなかったのだ。ところが世の中には物好きな人がいるようで、その「ひろゆき」なる人物を社会学的な視点から分析してみせてくれる。雑誌「世界」の最新号(2013年3月号)に掲載された小論「ひろゆき論」(伊藤昌亮著)がそれだ。
岸田政権が、新たな財源として国債を発行する決定をしたという。この国債は、一応、脱炭素のための環境対策に使うと言っているが、EUで実施されているグリーン債とは異なり、火力発電や原発関連にも使われるという。だからその名称を、EUのような「環境債」ではなく、「移行債」とするそうだ。
このところ、岸田政権が中国を仮想敵国とみなすような動きを強めている。今年はG7主催国という立場でもあり、G7諸国に向かって対中連携を呼びかける動きをしているし、また、バイデン米大統領との会談では、中国を意識して、軍事力を飛躍的に拡大させたうえで、その軍事力でもって米軍と協力し、日米一体となって中国を叩く姿勢を見せた。それに対してバイデンは大いに満足の意を表したということだ。
雑誌「世界」最新号(2023年2月号)のコロナ特集に、日本政府のコロナ対策の失敗を厳しく批判した論文が掲載されている。「なぜ日本のコロナ対策は失敗を続けるのか」と題したこの論文(米村滋人著)は、諸外国と比較しながら日本政府のコロナ対策が失敗した事実を検証したうえで、その原因と今後の対策のあり方についての提言を示している。
雑誌「世界」最新号(2023年2月号)の中国特集のうち、福田康夫元首相へのインタビュー記事を興味深く読んだ。最近アメリカが中国に対して敵対的な姿勢を強め、それに呼応するかたちで日本でも中国脅威論が高まっているが、福田はそうした傾向に警告を鳴らしている。福田といえば、自民党内の保守派に属しているので、とかくタカ派的なイメージで見られがちだが、「習近平の中国とどう向き合うか」と題したこのインタビュー記事を読む限り、穏健な立場に立っており、日本の対中政策がもっと現実を踏まえた、しかも自主性をもったものになるように願っているようである。
岸田政権は日本学術会議のコントロールにやっきになっているように見える。政府が学術会議を直接コントロールしたいという意向を露骨に示したのは菅政権の時のことで、その際には、政権の意に沿わない人の会員任命を拒絶するという大人げない方法をとったものだったが、岸田政権はもっとソフィスティケートされた方法を考えているようである。いま最も有力な案は、学術会議が直接会員の任命権を行使するのではなく、第三者機関を設けて、その意向を会員人事に反映させるというものだ。要するに学術会議の自主的な会員任命権に制約を加え、政府の意向を反映させるような制度を導入しようということだ。人事を通じて政府の意向を貫徹するというやり方は、安倍政権が得意としたものだが、それを岸田政権も受け継いだということか。
雑誌「世界」の最新号(2023年1月号」に寄せられた文章の中で、「交錯する『二つの西洋』と日本の『脱亜入欧』」(西谷修)という文章がひときわ印象深く受け取られた。この文章は、いま世界を騒がせているウクライナ戦争の背後に、「西洋(西欧+アメリカ)のロシアに対する伝統的な敵意を読み取る一方で、日本がその「西洋」の一員たらんとして、新たな「脱亜入欧」を目指していることを指摘しているのだが、それが小生にとって印象深く映ったのは、折からの岸田政権の動きが念頭にあったからである。岸田政権は、ウクライナ戦争に乗ずる形で防衛予算の倍増政策を打ち出す一方、その強化された防衛力で、「敵基地攻撃」能力を獲得しようとしている。その「攻撃能力」をもって、アメリカと連携しながら、日本に敵対する国に対して、戦争をしかけることも辞さないと言っているのである。その戦争の相手、つまり攻撃すべき国が中国であることは、前後の事情を踏まえれば明白なことだ。つまり日本はアメリカとともに近い将来対中戦争に踏み切る意思を、内外に示したといって過言ではない。
かつてトランプが大統領だった時に、日本を含めた同盟国に防衛予算の大幅増加を要請したのは、アメリカの負担軽減という意味合いもあったが、もっと露骨にいうと、増加した防衛予算で米軍需産業への注文を増やし,米国経済を潤したいという意向が働いていたと考えられる。その際、日本は聞こえないふりをして、トランプの要請にストレートに応えようとはしなかったものだ。
「クリーンなタカよりダーティなハトのほうがまし」という言葉が、一時メディア界ではやったことがあると聞いたことがある。おそらく田中角栄のような政治家を念頭においたものだと思う。田中角栄は、とかくダーティなイメージがつきまとっていたが、国際関係をめぐっては、平和主義者であって、中国との和解をすすめるなど、国際協調の精神も感じさせた。
昨日(10月4日)の朝、ラヂオでスペイン語講座を聞いている最中、いきなり臨時ニュースのようなものに切り替わって、講座が中断された。何事かと思えば、北朝鮮が日本に向かってミサイルを発射したので、Jアラートなるものを発出したのだという。Jアラートというのは、北朝鮮のミサイル発射を対象にしたもので、5年前に始めて発出された経緯がある。その際は、北朝鮮の発射した短距離ミサイルが北海道の上空を通過し、襟裳岬の沿海に落下したというので、その軌道上にある北海道がアラートの対象となった。ところが今回は、アラートの対象は北海度から青森県にかけての地域と、伊豆諸島及び小笠原だという。北海道と伊豆諸島とは方角が違うので、その両者に発出されたということは、ミサイルが二発発射されたのかといぶかったものだ。
安倍晋三元首相の国葬があった日(9月27日)、小生はパソコンが壊れてしまい手持ちぶさただったせいもあり、その様子をテレビ中継で垣間見た次第だった。パソコンが壊れた理由は、ウィスキーのハイボールをぶちまけてしまったこと。そのためハードディスクがクラッシュし、BIOSが駆動しなくなってしまった。こうなると、もうお手上げである。重要なデータのいくつかは前日にバックアップをとっておいたので、全滅にはいたらなかったが、それでも今年分の日記とか備忘録的なデータが消滅してしまった。そういうわけで、国葬を見て感じたことを、当日中にブログに載せることができなかった。だが、あたらしく取り寄せたパソコンが二日後には届いたので、今日(7月29日)には、こうしてネットにアクセスすることができるようになった。
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