日本の政治と社会

新型コロナウィルスの蔓延が収まらない状況の中で、東京オリンピックの開催を危ぶむ意見が世界中で出始めた。なかにはオリンピックの中止あるいは他都市での開催を真剣に論じるものまである。もっとも日本国内では、そういう意見は、有力メディアではほとんど報じられていない。そんなことをしたら、せっかく盛り上がっているオリンピック気分に水を差すことになるし、安倍政権に憎まれること請け合いだからだろう。

標記の言葉は実刑五年の判決を受けて、籠池泰典が発した言葉だ。籠池がこのように言う気持ちはわからないでもない。世間を大騒がせしたいわゆる森友問題では、不可解なことがあまりにも多く、また籠池一人の問題には止まらないところを、籠池一人がすべての責任を負わされて有罪判決を受けたと思われないでもないからだ。籠池は今回の判決を、安倍総理に反逆したことへのしっぺ返しとして感じたようだ。

先般、元TBS記者山口某が酔った女性をホテルに連れ込み、意識のない彼女を強姦した事件について、民事訴訟で強姦の事実を認定したうえで、加害者に損害賠償を命じる判決があったが、この事件は強姦をめぐる日本人の意識の特異さを見せつけたものとして、実に後味の悪いものであった。加害者の男は、いまだに和姦だったと言いたてているが、意識のない女性とどのように同意したというのか。この男は自分の行為について悪びれる様子を見せず、かえって控訴する意向だそうである。

安倍政権が景気浮揚の目玉として打ち出したIRをめぐって、スキャンダル騒ぎが起きている。これは日本のカジノ市場への参入を狙う中国企業のエージェントが、日本の複数の政治家に賄賂を贈っていたというもので、すでに自民党の衆議院議員一人が収賄容疑で逮捕されている。このほかにも、逮捕される議員は出て来るだろうといわれている。

オウム真理教に取材した「A」や、東日本大震災の状況をリアルタイムで紹介した「311」などで知られるドクメンタリー映画監督森達也の最新作「新聞記者ドキュメント」を、英紙ガーディアンが取り上げて、紹介傍ら論評している。この映画は、最近菅官房長官との対立で話題となっている東京新聞の女性記者望月さんの取材の様子を追ったものだ。その様子を通じて、日本社会における言論の状況が浮かびあがってくると、この記事は解説しているのであるが、それを読むと、小生などは一日本人として、この国の未来に危惧を覚えざるをえない。

いわゆるIRをめぐる汚職事件が世間を騒がせている。これは自民党の政治家が、日本のIR参入を狙う中国の賭博業者から賄賂を受け取ったという嫌疑である。よくある汚職事件の構図ではあるが、ちょっと見逃せない深刻な部分を含んでいる。この議員がIRの旗振り役として、制度の成立に大きな役割を果たしていたこと、またこの制度のもたらす甘い汁を中国の賭博業者が狙ったということだ。

東電福島第一原発には汚染水がたまる一方だが、その最終処分についての方針が、政府によって示された。海洋に放出するか、大気に放出するか、その両方を組み合わせるか、この中から選びたいというのである。この案を提示したのは経産省である。小委員会の議論の中では大きな異論は出なかったから、今後この前提に基いて方針を作成し、なるだけ早い時期に実施したいという。だが経産省は、この方針の合理性については、納得できる説明をしていない。過去にそうした前例があるばかりだと言うのみである。それでは国民は納得できないだろうし、まして地元の人たち、とくに漁業の人たちは余計に納得できないだろう。なんのことはない、「放出」という言葉を使って、原子力汚染物質をばらまこうとしている、といふうに受け取るのが自然ではないか。

元TBSジャーナリストによる強姦事件は、刑事事件としては司法の門前払いにあったが、民事事件としては、「同意なき性行為」が認定されて、倍賞金の支払いを命令する判決が出た。そのことについて小生も、このブログで私見を披露したところだ。小生はこの問題に接して実に不愉快な印象を持ったのだが、その印象は判決後の加害者の言動によっていよいよ強まった。この加害者は、あくまでも「合意の上での性行為」だったといって、被害者をうそつきよばわりしているのである。いったいどういう神経でそんなことを言えるのか、小生には腑に落ちないのだが、どうもこの男は、自分を過大に評価しているようなのである。その過大な自己意識が、このように高圧的な姿勢に通じていると思われるのだ。

日本では、いわゆる強姦事件が無罪になるケースが多い。多いどころか、ほとんどが無罪になる。それを見こんで始めから告訴をあきらめる被害女性も多い。そんなところから、日本は強姦天国と言われることもある。そんな例は日常的に見せられているところだが、このたび、民事事件とはいえ、強姦が裁判所で認定され、加害者に賠償命令が出されるという事例があった。この判決は、今後の日本における強姦事件への向かい方に多少なりとも影響するのではないか、そう思わされる部分もある。もっともこの判決は、強姦という言葉は使っていない。「合意のない性行為」という言葉を使っている。

大学入試問題が迷走している。先日は入試改革の二本柱といわれた英語の民間試験が中止になったし、続いてもう一本の柱とされた記述式問題の導入も延期になった。その理由は納得できるもので、中止あるいは延期の判断は正しいといえる。もしそのまま強引に実施されていたら、大きな混乱と将来への禍根を残すところだった。

桜を見る会をめぐる一連の騒ぎは、この国の政治の劣化を改めて国民に見せつけた。多くの国民は、モリカケ問題がよりスケールを大きくして再現され、しかもよりたちの悪いものになっていることに、ある種の既視感を以て接したのではないか。色々な人がこの問題を論じており、論点は出尽くしたといってよいほどなので、小生が付け加えることはないが、この問題を日本のメディアのあり方に結びつけて論じているものに強い印象を持ったので、それを紹介しておきたい。

北朝鮮外務省の日本担当副局長なる人物が、日本の安倍総理に言及して、雀の電脳水準以下だと罵倒したそうだ。これは朝鮮中央通信を通じて発表した談話のなかで出てきた言葉で、安倍総理が北朝鮮の発射した超大型放射砲を弾道ミサイルと取り違えたことを馬鹿にしたもの。この人物はご丁寧にも、北朝鮮は近いうちに本物の弾道ミサイルを発射するつもりだから、弾道ミサイルがどういうものか、よく見ろとも言ったそうだ。また、「安倍は本当にどれ一つ不足がない完ぺきな馬鹿であり、二つとない希代の政治小人だ」とも言ったそうだ。

韓国政府は、日本に通告していたGSOMIAの破棄を、昨日、期限ぎりぎりのどん詰まりになって、延期すると発表した。いままでの韓国政府の振舞いからすると、意外に映る。その理由を、自称識者たちはさまざまに説明して見せているが、やはり米国の圧力に屈したとみるのが自然だ。トランプ政権は、この問題については、背景に日韓間の歴史問題をめぐる軋轢があることを棚上げしながら、GSOMIAの破棄がアメリカに及ぼす害悪を無視できずに、韓国政府を締めあげたのだと思う。アメリカにとって、日韓はともに子飼いの犬のようなものだ。その犬同士が喧嘩するのはかまわぬが、それが主人である自分の立場を危うくするのは許せない。そう考えたうえで、そうした行為をとっているのは韓国のほうであるから、とりあえず韓国を締めあげようということだったと思う。そうしたアメリカの意向に、韓国政府が屈したということだろう。

先般の台風騒ぎで多大な犠牲を出した千葉県、その知事を務める某氏が、災害対応がひどかったといって日本中から批判されている。某週刊誌などは、某知事が災害発生の翌日に、公務を放り出して雲隠れし、千葉県内の自分の別荘に行っていたと報じたことで、批判の声はいっそうすさまじさを増した。某知事は、あれは別荘ではなく自宅なんですよ、と弁解したが、自宅だとしたら、千葉県民の災害の苦しみを放り出して、自分のことばかり考えていた証拠になるというので、もっとひどいということになる。そこで某知事への批判は、罵倒へとかわり、某知事はいまや日本中から袋叩きされている状態だ。

2020年度から実施されるはずだった英語民間試験が土壇場で見送りとなった。土壇場というのも、申し込み受付手続きが始まる当日に発表されたということだから、その唐突ぶりは否めない。この事態の背景には、某現職文科大臣の、いわゆる「身の丈」発言があった。この発言が、図らずも当該制度の持つ矛盾点をあぶり出す形になり、それを国民の多くが知るに至り、このまま実施を強行しては、重大な反発を招きかねないとの、安倍政権の危機意識が働いた結果、今回の決定となったものだ。とすれば、某文科大臣は、皮肉めいた言い方をすれば、重大な問題をはらむ制度について、考え直すきっかけを作ったということになる。

先日、神戸市立東須磨小学校の教員間で起きた陰湿ないじめ問題では、加害者の教諭四人が謹慎処分に処されていたが、それが有給休暇制度を利用したもので、給与が支払われているのはけしからぬとして、このたび神戸市議会がかれらへの給与の差し止めを可能にする条例を作ったそうだ。市民の感情を考慮したものだというが、果たして問題はないのか。例によって日本のメディアの報道は、明確で丁寧なものとはいえないので、なにが起きているのか、よくわからないところがある。給与の差し止めなどというから、有給休暇中にかれらに支払われるべき給与を差し止めることかといえば、どうもそう単純なことではないらしい。

今年は台風の当たりシーズンで、巨大台風が繰り返し日本を襲ったが、なかでも千葉県の被害は甚大だった。千葉県はこれまで長い間台風による直接被害を免れてきたのだが、今年は三度も巨大台風に見舞われ、そのたびに大きな被害を受けた。千葉県に育ち、いまもそこに居住する小生としては、知り合いにも被害を受けた人たちがいたりして、他人ごとではなかった。先日は、考妣の法要のために千葉県佐倉市の寺を訪ねたが、その寺も甚大な被害を受けたほか、近隣住民にも避難所に非難した人が多数いたと聞かされた。

先日、東京五輪のマラソン競技を、アスリート・ファーストの見地から札幌で開催するというIOCの方針が伝えられるや、東京都の知事はこれに大きく反発。そんなに涼しいところでやりたいなら、北方領土でやったらどうですかと、わけのわからぬことを言い出して世間の失笑を買ったところだが、今度は又、別のことを言い出した。暑さ対策というなら、マラソンの開始時間を繰り上げて午前五時にしたらどうかとか、復興五輪という名目を掲げているのだから、札幌より東北の方が相応しいのではないか、といった意見を知事の意向を受けたに違いない東京都の役人どもが言い出したと言うのだ。

東京オリンピックのマラソンと競歩の種目を、札幌で開催する案がIOCで真剣に検討されているそうだ。名案といえるので、おそらくその方向で実現する可能性が高い。開催都市たる東京都の知事は強く反発しているそうだが、選手の健康第一という名目の前では、その言い分は通らないだろう。小生は、基本的にはIOCの案に賛成だ。

関西電力の幹部が、不明朗な金品を受領していた問題が大きな騒ぎを引き起こしている。金の出どころは原発立地自治体の元助役で、その金の大本の出どころは関西電力の工事を請け負っていた企業だ。つまり工事代金の一部がキャッシュバックの形で関西電力の幹部にわたっていたということで、これは古典的な汚職の構図と同じものだ。

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