日本の政治と社会

安倍政権の菅官房長官がNHKの番組に登場し、沖縄の基地問題に触れて、普天間移設計画は既定方針通り粛々と進める一方、普天間基地の2019年初めまでの運用停止については、翁長知事の協力が必要だとの見解を示したそうだ。

安倍政権の沖縄県知事への対応が話題になっている。翁長知事が昨年末に上京し、当選挨拶を兼ねて、安倍首相以下の主要閣僚に会談を申し入れたところ、直接の担当官庁である沖縄開発庁の長官は応じたものの、安倍首相や菅官房長官はじめ、他に会談に応じた閣僚はなかった。また年明けにも、予算要望等で安倍政権の関係閣僚との会談を申し入れたが、安倍首相を含めて、応じた閣僚はいなかった。これを捉えて、沖縄県の地元メディアが強く批判したのは無論、おおよそのメディアが、安倍政権の大人気のなさにあきれているようだ。

昨夜、三粋人たちの経世問答を傍で聞いていて、ふと思うところがあった。それは、安倍政権はみかけほど磐石なのか、という疑念であった。たしかに安倍政権は、公明党と併せた連立与党として衆院の三分の二を獲得し、絶対的に優位な状況を引き続き維持することになった。この状況が今後四年間続く可能性があることを思えば、安倍政権はかなり磐石な政治基盤を獲得したと言えなくもない。しかし、自民党単独では改選前の議席を下回ったわけだし、沖縄では4議席のすべてを反安倍政権の候補者が制した。これは、磐石のなかにも綻びがみえる、ということではないのか。

無覚先生:安倍首相による一人芝居ともいえる抜き打ち解散・総選挙が行われ、自民・公明の連立与党が再び衆議院の三分の二を占めるという圧倒的な勝利に終わりました。投票直前までは、自民党単独でも三分の二に行くのではないかとの説がメディアに流れていたわけで、それと比べれば聊か拍子抜けの所はあるが、与党圧勝というのはやはり重い結果だと言える。それに、解散した当時は、自民党は議席を減らすだろうという憶測も流れ、安倍さん自身もそれを意識してか、勝利の基準を議席の過半数に設定するなど、控えめなところもあった。そんなこんなを忖度しても、今回の結果は、安倍政権にとっては大出来だったと言えましょう。そこで、安倍さんが衆議院の任期をまだ半分も残し、また鋭い対立案件が存在しない状態で解散・総選挙に打って出たこと、そしてその結果このような大きな勝利を勝ち取ったこと、まずはそこらへんから話題にするとしましょう。

安倍晋三総理大臣が、英誌 Economist とのインタビューに応じて、自身の政治的信念や現下の課題についての認識を、率直に語った。その率直さが非常に印象的だったので、ここにその一部を紹介したい(Shinzo Abe talks to The Economist)。

安倍晋三総理が衆議院を解散したことを巡って、様々な論説が行き交っている。そのほとんどは、今回の解散には大儀らしいものが見られず、ただひとつ見られるのは、まだ勝てるうちに勝って、すこしでも長期政権につなげようとする安倍総理の政治的打算ばかりだ、といったものだ。

沖縄県知事選挙が行われ、米軍基地の辺野古移転に反対を表明していた翁長氏が、現職の仲井間氏を破って当選した。翁長氏は、公約通りに辺野古移転阻止に向けて万全を期すと表明している。これに対して安倍政権の菅官房長官は、選挙結果にかかわらず、辺野古移転の方針にいささかの変更もないといって、翁長氏の主張を正面から無視する姿勢を示している。また安倍政権寄りの右翼メディアである読売も、翁長氏に向かって、考えを改めよと迫っている。

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写真(APから)は、昨日(11月10日)北京で行われた日中首脳会談を前に、安倍晋三、習近平両首脳が握手する場面を映したものだ。これを見て異様な感じを抱いたのは筆者のみではあるまい。両首脳ともぎこちないというか、不如意というべきか、要するに喜んで握手しているようには見えない。この時の様子は動画でも放送されていたが、それを見ると、習近平のほうは安倍総理から意識的に視線を外そうとしているようにも見えた。

自分で火をつけておいてその勢いに驚き火を消しに回る人のことを、評論家の佐高信が「放火犯の消火」といってあざ笑ったが、日中会談の実現を巡る安倍晋三総理大臣の騒ぎぶりを見て、この言葉を思い出した。安倍総理は、自分で日中関係を損なっておきながら、その回復に躍起になっている。その有様はまさに、火つけが火を消すのに大わらわといった観を呈している。

電車の中吊り広告といえば、日本の風物詩のようなものだったが、それが近い将来に消えていきそうだという。まずは、山手線から。2015年の秋以降に導入される新型車両から順次、車内広告は窓上に設置する液晶画面に一元化し、中吊り広告は廃止していこうというのだ。これによってすぐに中吊り広告がなくなるわけではないらしいが、いずれ消えてなくなる日がやって来るだろう。

従軍慰安婦についての国連報告、いわゆる「クマラスワミ報告」について、安倍政権が国連に対して、その一部を取り消すように求めた。先般朝日新聞が従軍慰安婦に関する自社の記事の一部を訂正した事態を踏まえてのものだ。クマラスワミ報告は、今回朝日が取り消した記事も引用しており、それが取り消されたからには、国連報告の一部もまた取り消されるべきだという理屈だ。

先稿「クローニー・キャピタリズム」の中で筆者は、各国における経済のクローニー度を分析した雑誌 Economist の記事を紹介しながら、日本はいまのところ世界で最もクローニー度が低い国と結論付けた。だが、そうも言ってられないようだ。日本にもクローニー・キャピタリズムの模範のようなものが存在する。原子力村といわれるのがそれだ。

朝日新聞が従軍慰安婦の記事の一部を撤回したのに乗じる形で、極右勢力による歴史修正主義の動きが表面化してきたが、それが暴力を連想させるというので、日本が暴力的な排外主義に進んでいくのではないかとの懸念が、海外でも出て来たようだ。その一つの例として、英紙ガーディアンの記事を紹介しておきたいと思う。

西部邁と佐高信は吉田茂嫌いでも一致しているようだ。その理由を西部は、吉田が非日本人的であることだと言っている。その更に根っこの理由としては、吉田が対米従属の戦後レジームを作り上げた張本人だということがあるらしい。吉田は、戦時中にはほとんど何もせずにいたくせに、戦後になると一躍花形政治家になった。それはアメリカが吉田の利用価値を認めて登用したやったおかげで、吉田本人の実力ではない。吉田は、アメリカの威光をバックにして政敵どもを叩き潰し、自分の思うような戦後レジームを作り上げた。そのレジームというのが対米従属の平和主義というものであり、それが西部には非日本的な軽挙の如く受け取られるということなのだろう。

西部邁は、左翼として出発し、後に右翼・保守主義に転向したのだそうだ。左翼といってもそう根の深いものではなかったらしく、東大に入学したあとブントの学生運動にかぶれた程度であったらしい。だから、豚箱に半年ほどぶち込まれると目が覚めて正気に戻ったということのようだ。その点は、筋金入りの左翼として出発し、ブントにも理解を示しながら、終生左翼的な心情を抱き続けた廣松渉とは大きな違いがある。

10月2日の朝日の朝刊に、在特会の体質を分析した社会学者樋口直人氏の小文「極右を保守から切り離せ」が載っているのを読んで、考えさせられるところがあった。氏は一年半の期間をかけ、在特会のメンバー34人に直接インタビュー調査を行い、そこから彼らの特徴を分析・抽出したという。それによれば、彼らの大部分は高学歴で、正規雇用の職についており、しかもホワイトカラーが多かった。つまり、俗にいう勝ち組が大多数を占めるというのである。

佐高信と西部邁の対談集「思想放談」を読んだ。この二人は、それぞれ右と左のチャンピオンを自認しており、水と油のような間柄と思えるのだが、何故か気が合うらしく、この本以外にも対談集を出しているし、個人的にも気を許しあった間柄らしい。何故そうなったのか。その手がかりが「トクヴィル」を語った部分に出てくる。佐高はある文章の中で西部邁を批判した時に、西部から「便所の落書きみたいな文章を書くな」と怒られたことがあったが、その時に逆切れするどころか、うまいことを言うもんだと感心してしまい、それ以来西部を高く評価するようになったのだという。

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日本にもネオナチが存在する、ということを筆者は、英紙ガーディアンのウェブ上の記事で知った。この記事は、安倍晋三首相のお友達として知られる女性閣僚(某総務大臣)と自民党の女性幹部(某政調会長)とが、日本のネオナチの幹部とツーショット写真をとっていたことを紹介しているのだが、その中で日本のネオナチの特徴を簡単に説明している。

佐高信の政経外科シリーズ第16段「安倍政権10の大罪」を読んだ。安倍政権を「タカ派」ならぬ「バカ派」と断ずる佐高が、その数ある罪の中から10の大罪をピックアップし、それらがいかに犯罪的で反国民なものであるかを力説したものだ。

先日、佐高信と寺島実郎の対談「この国はどこで間違えたか」を取り上げた際に、辛口の評を投げてしまったが、この対談には、耳を傾けるべきところもある。筆者が特に裨益されたのは、イギリスと日本の比較文化論だ。

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