日本の政治と社会

先日、23歳の若者男性が車の中で会社の女上司に蹴られて死んだというニュースが流れたが、それを聞いた筆者はびっくりした。その理由は恐らく、女が男を蹴り殺したということの異常さ、またこの女が暴行した男性と言うのは、女が雇っていたアルバイトで、その仕事ぶりが気に入らないから暴行したということの異常さだ。

日本で反原発を主張する論拠の一つに、便所のないマンションをたてるようなものだという理屈がある。たしかにその通りで、原発から出る大量のゴミとも言うべきものの、適切で安全な処理を伴わなければ、危険なゴミが国内に充満して、それこそ糞詰まりの状態になるのは、子どもでも思い浮かぶことだ。そこで、いかにしてこのゴミの処分に道筋をつけるかが問題になるが、ここに面白い提案をする人がいる。オックスフォード大学で原子力が環境に及ぼす影響を研究しているカービー氏だ。氏はニューヨーク・タイムズに寄稿した小文の中で、日本は核のゴミを外国に引き取ってもらうのが、もっともよい解決策だと提案している( Japan's Plutonium Problem )。無論ただではない、相応の手数料を支払った上でのことだ。

日本研究で知られるオランダのジャーナリスト、カレル・ヴァン・ウォルフレンが、最近の日米関係について論じた文章を日本の英字紙 Japan Times に寄せている(Dependence day: Japan's lopsided relationship with Washington )。本文はかなり長いので引用は控えるが、読者諸兄には、上記リンクからアクセスし、一読することをお勧めしたい。

安倍首相の戦後70年談話は、予想されていたほど挑発的・攻撃的ではなかったが、かといって謙虚で抑制的とも言えなかった。それは多分、東アジアでの緊張の高まりを望まない米国への遠慮と、国内の右翼勢力への気遣いとが相まって、そうさせたのだろう。

川内原発の再稼働が決まり、およそ二年ぶりに原発ゼロの状態に終止符が打たれる。しかし、再稼働を巡る一連の事態を見るかぎり、安心しているわけにはいかない。そう思うのは筆者のみではあるまい。

今年(2015年)は、広島・長崎に原爆が投下されてから70年目の節目の年だ。今日8月6日には、例年のとおり広島で平和記念式典が催された。その場で、印象的なことが二つ起った。一つは安倍晋三総理大臣が、この式典に出席した歴代の総理大臣としては初めて、非核三原則に触れなかったこと。もう一つは、アメリカの政府高官が初めて参加したことだ。安倍総理大臣については、彼の日頃の言動からして想定の範囲内であり、そう驚く人はいなかったと思う。一方、アメリカ政府を代表して始めて参加したゴットメラー国務次官については、終始硬い表情で、何らのコメントもなく、式典終了後静かに立ち去ったということだ。

国立新競技場の白紙撤回問題をめぐる安倍晋三総理大臣の公約破りを見ていると、この男の虚言癖ともいうべき性癖が改めて気になる。安倍晋三総理大臣は、そもそもこの競技場のデザインは民主党政権時代に決まったことだなどと責任を転嫁するような言い方をしているが、オリンピック都市選考の場で、デザインや財源も含めて、保証付きの立派な競技場を作りますと明言したのはほかならぬ安倍晋三総理大臣自身だ。つまり、安倍晋三総理大臣は自らの威信にかけて、新国立競技場を売り込んだわけで、それを白紙撤回することは明確な公約破りであり、虚言を吐いたと言われても致し方がないところだ。

新国立競技場の建設費用を巡って日本中を巻き込む大騒ぎが起ったあげく、安倍晋三総理大臣自らが計画を白紙撤回すると言い出した。その理由は国民の理解が得られないということらしい。この計画の推進者であると目され、いまや渦中の人となった感のある某元総理大臣は、後輩の安倍総理大臣から説得されて、倅から説教された親父のようにふてくされて見せた。曰く、2600億円のどこが高いのかと。

新国立競技場をめぐる政府や関係者の無責任な対応振りが大いに問題になっている。安部晋三総理も、この問題に「問題」があることを認めたが、これからやり直すには時間が足りないということを理由に、この問題に幕を引こうとする姿勢を見せた。安部晋三総理の代弁者である菅官房長官も、この問題を白紙に戻してやりなおそうというのは「無責任」だと言って、批判勢力を牽制している。

先稿「誰がツケを払うのか:新国立競技場の巨額建設費」で、新国立競技場の建設費用の一部を都が負担する場合には、東京都のみを対象とした特別立法が必要なことに触れたが、もしこうした立法措置をせずに、舛添都知事の計らいで建設費用の一部を負担するとした場合に、どんなことになるか、片山善博氏がシミュレーションしている。(「新国立競技場をめぐるドタバタ」"世界"2015年8月号」

2500億円にものぼる巨額の建設費を誰がどう払うのか、ほとんど何も詰まっていない状況の中で、事業主体の日本スポーツ振興センターが、有識者会議なるもののお墨付きを得て、計画通り建設を進めることを決定した。この会議には、そもそもこの問題の当事者と言うべき二人、某文科大臣とこの計画の推進者だった高名な建築家が入っていない。文科大臣と並ぶ責任者である都知事は入っているが、焦点となっている建設費用の負担については、全くの白紙だなどと言っている。

安倍総理大臣が、G7への出席途上ウクライナに立ち寄り、共同声明を出した。「力による現状変更を決して認めず、法の支配、主権、領土の一体性を重視していく」というものだ。これがロシアによるクリミア半島の併合と、東ウクライナのさらなる併合へのロシアの野心を非難しているのは明らかだ。併合とはありていに言えば他国の領土の侵略にほかならない。領土をロシアによって侵略されたという点では、日本はウクライナと同じ立場にあるわけだから、今回の共同声明には相当の理があるといわねばなるまい。日本は今後、ロシアとの間で同じような問題を抱えている国と協力して、ロシアによる他国侵略の歴史を糾弾し、できうれば侵略された領土の回復に努めねばならない。

衆議院の憲法審査会で、各党の推薦で参考人として招致された憲法学者三人がそろって、安倍政権が成立を目指している新たな安全保障関連法案について、違憲であるとの意見を述べた。その中には自民党が推薦した早大教授長谷部恭男氏も含まれていたというので、自民党では大騒ぎになったそうだ。

イエロー・ジャーナリズムという言葉がある。日本の多くの週刊誌と一部の新聞紙がこれに含まれる。扇情的な物言いで読者の関心を煽ることを得意とするジャーナリズムだ。また、クローニー・キャピタリズムという言葉もある。主に発展途上国の経済について言われるもので、権力と結託した利権的な資本主義経済のことをさして言う。

憲法学者の長谷部恭男と政治学者の杉田敦が、朝日紙上の対談の中で、安倍政権の語法について手厳しく批判している。安倍政権のおかしな語法については筆者も関心があり、先日もこのブログで、安倍政権が続けば、そのうち「平和」という漢字が「戦争」を意味するようになるだろうと書いた。対談のお二人も同じ意見で、安倍政権の語法によれば「戦争は平和である」(長谷部)ということになると言い、そういうのを「新語法(ニュースピーク)」だと指摘している(杉田)。

安倍晋三総理大臣が国会論戦の中で、ポツダム宣言についての質問に対して、「まだその部分をつまびらかに読んでいないので、直ちに論評することは差し控えたい」と答えたそうだ。これは、総理がポツダム宣言を読んでいないというふうに受け取られた。たとえ一度だけでも読んでいれば、そこに何が書かれてあるかは、頭に入っているはずだ。そんなにむつかしい事が書いてあるわけではない。だから、聞かれて答えられないわけはない、というわけであろう。

大手メディアはほとんどスルーしていたが、5月13日から3日間、横浜で開催された武器見本市が一部で厚い視線を浴びた。この見本市は、正式には海洋システム・テクノロジー大会(Maritime Systems and Technologies (MAST) conference )と言って、イギリスの防衛産業大手企業が主催し、日本の防衛省と経産省が後援した。

習近平の中国が東アフリカのジブチに軍事拠点をおく計画を進めているようだ。ジブチと言えば、紅海の入り口にあって、ヨーロッパとインド洋を結ぶ海路の要衝ともいえるところだ。中国は、ヨーロッパとの間を結ぶ海のシルクロード構想を打ち上げていることから、ジブチの軍事拠点は、このシルクロード防衛の拠点として考えているのだろう。

沖縄の辺野古問題を巡って、安倍政権と沖縄との対立が深まっている。このままでは、穏便な解決を望むことはできないだろう。もしかしたら血が流れるかもしれない。そうなったらこの問題は、アウトオブコントロールの状態に陥り、ひいては沖縄と本土との亀裂の深刻化はもとより、日米安保の行く末にも重大な影響を及ぼすだろう。

安倍総理の米議会での演説は、日本の保守系メディアでは大はしゃぎで受け止められているが、欧米のメディアはかなりクールに受け止めている。地元アメリカのメディアでは、折からアメリじゅうを騒がせているボルティモアでの事態の報道の影に隠れて、まともに取り上げられていない。たしかに安倍総理の演説は、舌がもつれているようなたどたどしい英語だったし、中身もほとんど新味がなかった。地元アメリカのメディアから相手にされないのも致し方がないというべきだろう(地元の現場でそれを聞かされていた上下両院の議員たちがそれなりの敬意を表したのには、また別の理由がある)。

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