日本の政治と社会

福島県が、福島原発事故による子どもの甲状腺がんへの影響について、調査結果を発表した。それによると、結果がまとまった28万7千人のうち、50人について甲状腺がんの確定診断がなされ、疑いのある子どもを含めると、90人にものぼるという。

安倍晋三という政治家の政治スタイルを特徴付けて、アベポリティクスと筆者は命名し、その特徴は、復古的で反動的な政策ミックスにあると言った。しかしもうひとつ、もっと重要な特徴を付け加えなければならないようだ。それは、専制主義を目指しているということだ。

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安倍晋三総理大臣の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(通称「安保法制懇」)が、集団的自衛権を行使できるように憲法解釈の変更を求める意見書を安部総理大臣に提出することになった。この意見書は、日本をとりまく安全保障環境の変化を理由にして、集団的自衛権についての憲法解釈をめぐる従来の政府見解を覆して、日本が集団的自衛権を行使できるように、180度の方針変換をせまるものだが、そのことは、政府の解釈を憲法の明文規定よりも優先させるものとして、立憲主義からの大きな逸脱というべきである。

イスラエルのネタニヤフ首相が来日し、安倍首相と首脳会談を行った上で、「包括的パートナーシップの構築に関する共同声明」なるものを発表した。それを読むと、「閣僚級を含む防衛当局間の交流拡大、日本による中東和平実現への意向の表明、イランの核問題解決の必要性で一致」などとうたわれている。

競馬で儲けた金にも税金がかかるのだそうだ。筆者は競馬はやらないのであまり実感はわかないが、競馬で儲けたからといって、それを正直に税務申告する人は少ないのではないか。同じギャンブルでも宝くじの方は税金はかからないので、競馬の配当にもかからないと決め込んでいる人が多いのではないか。

安倍首相が、五月の連休のヨーロッパ歴訪中に、しきりと(ヨーロッパ諸国との)価値観の共有を強調していた。そこで安倍首相がいっていた価値観というのは、自由や民主主義といった欧米社会が歴史的に培ってきた「普遍的な」価値観のことをさしているのだろうと思う。もしそうであれば、そのこと自体は評価すべきことで、安倍首相には、今後もそうした価値観の実現に向かってまい進して欲しいと期待したいところだ。

いま問題になっているブラック企業について、そういわれるに値する条件をどう考えているか、学生側と企業側の認識の違いについて、毎日が取材記事を書いている。

毎年5月3日の憲法の日には、日本中で憲法をテーマにした集会が催され、それに地元の自治体が共催するといった光景が、一つの年中行事のようになってきたが、今年はそれに顕著な異変が起きているらしい。政治的な中立保持を名目にして、協賛を断る自治体が増えているというのだ。

先日、児童養護施設(いわゆる孤児院)を舞台にしたあるテレビ番組が、入所児童の人権を侵害するような心無い演出をしたことで、世間の強い批判にさらされたことがあったが、この番組は、二重の意味で、人権感覚に欠けていた。児童施設を色眼鏡で見ることによって、入所児童の人権を侵害していることがひとつ、もう一つは、このような児童養護施設が社会的には何らの問題をも抱えていないように描くことで、養護を必要としている児童についての認識を曇らせているという点だ。

「核のごみ:再回収可能に...処分計画転換、エネ庁部会報告」と題した毎日の記事を読んで驚いた。これは、現在のように核のゴミの処分は永久的でかつ安全な方法でという建前をくつがえして、再利用を考慮した、暫定的なものへと転換するものだ。部会は、この方針転換について、核の再利用についての意思決定の余地を将来世代のために残しておいてやるのだと説明しているようだが、その説明が詭弁に過ぎないということは、そんなに頭を使わなくともわかろうというものだ。

日本の訪問に始まったオバマ米大統領のアジア4か国歴訪、その意義を改めて考えると、オバマの中国封じ込めの意図が見えてくるような気がする。この四か国は、東シナ海から南シナ海にかけての、中国の防衛ラインたる第一列島線上に位置している。そのような諸国に対してオバマは、同盟の強化を持ちかけた。日本に対しては尖閣の共同防衛を明言し、フィリピンとの間では、米軍基地の配置について合意した。このような動きは、中国を想定したものではないとするアメリカ側の言い分にかかわらず、中国を第一列島線内に封じ込める意図に基づいたものだと受け取る十分な理由がある。オバマは同時に、日本と韓国が仲良くするようにも取り計らったが、それは、中国の脅威を前に、米の同盟諸国が足並みを揃えてあたりたいとする深謀遠慮のあらわれと考えてよい。

オバマ大統領との間で尖閣防衛へのアメリカのコミットメントを確認できたり、韓国との間で冷え切っていた関係を修復できる可能性が出てきたり、このところ、安倍首相の外交状況は、一時期の状態に比べれば大分改善されてきた。中国との間でも、尖閣への公船侵入はやんだわけではないけれど、いままでと比べれば相手に自制の動きが見られる。

最大級のおもてなしでお迎えした甲斐があって、安倍首相はオバマ大統領からすばらしいプレゼントをもらうことができた。尖閣諸島について、アメリカは防衛義務を果たすと明言してもらったことと、安倍政権がいま進めようとしている集団的自衛権の憲法解釈変更による容認に支持を得たことである。一方、ほぼ時期を同じくして閣僚らが行った靖国参拝についてはとがめられことがなかったし、今回のオバマ来日の最大の目的であったTPPの妥結についても、何とか先送りすることができた。安倍首相としては申し分のない結果であり、喜びに耐えないといったところだろう。

安倍政権の産業競争力会議なるものが、「残業代ゼロ」の議論を蒸し返しているそうだ。安倍政権は先般、「雇用特区」構想なるものをぶち上げ、一定の特区の内部では、「残業代ゼロ」や「首切り御免」を認めようとする議論をしたところだ。その際には、一部の労働者だけを対象に差別的待遇をするのは、法の前の平等を保障した憲法の理念に反するという至極もっともな意見が、厚生労働省サイドから出され、しぶしぶ撤退した経緯があった。それを今回は、特区に限らず全国的規模で導入しようという議論に切り替えているらしい。そうすれば、一部の労働者ではなく、すべての労働者に適用することとなり、憲法違反の疑念をクリアできると考えたのであろう。

「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の著者で知られるエズラ・ヴォーゲル氏が、朝日新聞のインタビューに答えて、現在の日本の政治状況について憂慮の念を表していた。安倍政権が登場して以来、日本では過去を正当化しようとする議論が湧きあがっているが、日本がそうすればするほど、国際社会の信頼を失うことになるといって、日本の向かう先を憂慮している。

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米誌TIMEによる安倍首相へのインタビューがWEB上にアップされているのを読んだ。日米関係、日中関係、尖閣問題、アジア太平洋戦争についての認識、靖国参拝問題、従軍慰安婦問題、憲法改正など幅広い問題についてインタビューが行なわれているが、どのイシューについても、安倍首相はそつなく答えていた。従軍慰安婦問題については、第一次安倍政権で、強制性はなかったとする閣議決定を行ったことには触れたが、今は河野談話を見直すつもりはないと答えて、この問題が政治化する事態を回避しようとする意思が働いているように受け止められた。

安倍政権が今回閣議決定したエネルギー基本計画には、青森県六ヶ所村の再処理工場の稼働も含まれていた。この再処理工場では、年800トンの使用済み核燃料を再処理し、8トンのプルトニウムを取り出す能力がある。取り出したプルトニウムは、原発で燃料として消費することとなっているが、周知のとおり、その目途はまったく立っていない。これまでに再処理した結果すでに44トンのプルトニウムがたまっており、これに毎年8トンのプルトニウムが加わり続けることになることになるわけだが、これにたいして米側から深刻な懸念が寄せられていることが判ったという。

安倍内閣が新たなエネルギー基本計画を閣議決定し、原発再稼働の方針を明記した。注目すべきは、既存の原発を再稼働するにとどまらず、原発の新増設も否定していないことだ。つまり、安倍政権は原発の復権に向けて全面的に舵をきったということだ。原発村の住人達はさぞ大喜びだろう。なにせ、民主党政権時代に決定された「原発ゼロをめざす」という方針を葬り去ることができたわけだから。

安倍政権下の自民党にも、まだこんな気骨のある人が生き残っていたか、と感じさせる人がいた、村上誠一郎衆議院議員だ。氏は雑誌「世界」のインタビューに応えて、安倍政権の危険性について、ナチス・ドイツと比較するなどして、歯に衣着せぬ率直な発言をしている。現下の日本政治を覆うムードを考えれば、余程の気骨がなければ、こんなことは言えない。

国土強靭化と称するばらまきにオリンピック需要が加わって、建設業を中心に深刻な労働者不足が生じている。そこで、安倍政権は外国人労働者を活用する方向へと踏み出した。対策の中心は、いまある技能実習制度の弾力化だ。この制度による日本滞在の上限を3年から5年にのばしたり、一旦帰国した人にも再度の来日を許可するなどして、日本でできるだけ長く働いてもらおうとするものだ。オリンピックが行なわれる2020年までの限定的措置で、それ以降は日本から出て行ってもらうという、ある意味都合の良い措置だ。

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