日本の政治と社会

片山善博氏が、JR北海道の不祥事とそれに対する国土交通省の居丈高な断罪ぶりに触れて、興味ある提言をしている。(「JR北海道の安全管理と道州制特区」世界3月号)

安倍首相が国会論戦の場(衆議院の予算委員会)で、集団的自衛権の行使の容認について聞かれ、「(憲法解釈の)最高の責任者は私だ。政府答弁に私が責任を持って、その上で私たちは選挙で国民の審判を受ける。審判を受けるのは内閣法制局長官ではない。私だ」と答弁した。これは、内閣法制局長官ではなく、首相こそが憲法解釈の責任をもっているのだ、ということを主張したかったようなのだが、実際には、違った風にうけとられた。選挙で勝ちさえすれば、いかようにも憲法解釈を変更できるというように受け取られた。与党の自民党でさえそう受け取ったものが多かったらしく、総務会では安倍首相を批判する意見が多数出たそうだ。

新たに都知事になった舛添氏が、東京を「世界一の街」にすると意気込んでいるそうだ。筆者もその意気ごみには賛成だ。そこで舛添氏の意気を買って、ひとつ提案したいことがある。東京の景観を、世界一とは言えないまでも、世界一流のレベルまで引き上げて欲しい。というのも今の東京の景観は、歴史と文化を誇る国の首都としては、あまりにもお粗末だからだ。

安倍首相の肝いりで任命されたNHK経営委員の一人である某氏が、東京都知事選に立候補した某極右候補の応援演説の中で、対立候補を「人間のくず」と罵倒する一方、「南京大虐殺はなかった」と主張し、また、原爆投下と東京大空襲を大虐殺と位置付け、東京裁判は「これをごまかすための裁判だった」と主張したことで、大きな波紋を呼んでいる。

先日、教育委員会を首長の諮問機関に格下げする案を自民党が出したところ、教育への政治介入の拡大を憂慮した公明党が難色を示したために、自民党は新たに、代表教育委員なるアイデアを出してきた。これは、執行機関としての教育委員会の位置づけは従来のままで、教育委員長と教育長を一体化させた代表教育委員なるもの設置しようというものだ。こうすれば、教育委員会の自主性は保証されつつも、教育行政への知事の関与も強化され、教育委員会の責任ある運用が期待できる、と自民党は説明しているようだが、果してそうか。

国会の質疑で野党議員から自身の憲法観について聞かれた安倍首相が、「考え方の一つとして、いわば国家権力をしばるものだという考え方がある」として立憲主義の考え方に触れたうえで、「しかし、それは王権が絶対権力を持っていた時代の主流の考え方であって、いま憲法というのは日本という国の形、理想と未来を、そして目標を語るものではないか」と述べたそうだ。

安倍政権が教育委員会制度の改革に乗り出した。報道等によれば、現行法律上執行機関として位置付けられている教育委員会を首長の(審議・勧告のための)付属機関とし、現在は教育委員会によって任免されている教育長を首長による任命に切り替え、教育行政に首長の意向を直接反映できるようにする、ということらしい。

開会したばかりの国会の代表質問で、民主党の海江田代表がNHK籾井新会長の「慰安婦」を巡る「失言」について安倍首相の考えを問いただしたところ、安倍首相は「政府としてコメントすべきではない」と答え、これについて自分が問題視することはないとの考えを示したうえで、「新会長をはじめ、NHKの皆さんはいかなる政治的圧力にも屈することなく、中立、公平な放送を続けてほしい」と述べたそうだ。

NHKの籾井会長が就任会見で慰安婦問題に触れ、「当時の戦争地域には大体つきものだったと思う。(問題は)日韓基本条約で国際的に解決している。それをなぜ蒸し返されるのか」と発言したことについて、本人は適切ではなかったと反省しているらしいが、安倍政権では必ずしもそうは考えていないようだ。サンケイによると、菅官房長官は記者会見の席上、「会長が個人として発言したと承知している。その後『取り消す』と言っており、問題ない」と述べ、国会審議への影響も「全くない」と強調したそうだ。

NHKの新会長に就任したばかりの籾井勝人氏が、就任記者会見の席上「従軍慰安婦問題」に触れ、「戦時だからいいとか悪いとか言うつもりは毛頭ないが、このへんの問題はどこにもあった」という発言をしたそうだ。あたかも、戦時下の日本軍による従軍慰安婦制度を正当化するような内容で、その点では先日国際社会からも厳しい批判を浴びて、急速に政治力を失った某政党の代表と同じ穴のムジナというしかない。

アベノミクスの当面の成功で、欧米諸国始め海外の評判もマアマアだった安倍政権だが、このところ、評判を落とすような失態を、ほかならぬ安倍首相自身がしているとあって、安倍政権下の日本を見る海外メディアの眼が厳しくなってきた。

ダヴォス会議での各国メディアとの会合における安倍首相の発言が大きな反響を呼んでいる。首相は、日中間で戦争が起これば両国にとって大きなダメ―ジになるから、偶発的に武力衝突が起こらないようにすることが必要だと述べる一方、今年が第一次世界大戦から100年目にあたることを引合いにだし、1914年以前の英独関係がいまの日中見解が似ているというようなニュアンスの発言をしたからだ。その発言を早速欧米のメディアが取り上げ、安倍首相は中国との戦争を避けられないと考えているのか、といった疑問が広範に湧きあがったというわけなのだ。

「日本の絞首刑」と題する永田憲史、デヴィッド・T・ジョンソンの共同論文が雑誌「世界」の2014年2月号に掲載されているのを興味深く読んだ。死刑というのは刑務行政の究極的な姿を反映するものであり、したがって多岐にわたる問題を含んでいるが、また著者たちの問題意識も多岐にわたるものであるが、とりあえず筆者は、日本の死刑執行形式である絞首刑の、執行の仕方に関心を持った。この問題については、過去にもこのブログで取り上げたことがある。

細川護熙元首相が脱原発を掲げて都知事選に立候補したというので、マスコミは大いに賑わっている。細川さんだけではこんなに盛り上がらなかったもしれないが、なにしろ小泉元首相までが加わって、脱原発をワンイシューにして都知事選を戦うと言うので、俄然面白みを帯びてきたというわけだろう。これに対して安倍政権サイドは、原発問題は国政イシューだとかいって牽制していたが、最近では自分たちだって脱原発と言う方向性では共通しているなどと、訳の分からないことをいうようになった。細川・小泉連合の破壊力を余程恐れていると見える。

「『満州国化』する日本」という聊かショッキングな題名のインタビュー記事が今朝(1月10日)の朝日に載っていた。話し手は法政思想史家の山室信一氏。氏は今の日本を評して「日本の満州国化」だというのだ。

日中それぞれの駐英国大使が、英国の新聞紙上を舞台に誹謗中傷合戦を繰り広げたそうだ。毎日新聞によると、事の発端は、1月2日のデーリー・テレグラフに寄せられた中国大使の寄稿。この中で中国大使は、安倍首相による靖国参拝を批判し、「軍国主義が日本におけるヴォルデモート卿だとすれば、靖国神社は、(ヴォルデモート卿が自らの魂を保管する)魔法の箱であり、日本の魂の最も暗い部分を代表するものだ」と指摘。これに日本の駐英大使が反論し、6日付同紙上に「アジアのヴォルデモート卿になりかねない中国」と題した文章を寄稿し、中国側が挑発行為を繰り返していると指摘した上で、東アジアで軍拡競争を行い緊張を高めれば、ヴォルデモート卿の役割を演じることになると警告した。

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中国の習近平国家主席と日本の安倍晋三首相との間には類似点が多い、という趣旨の文章をAFPが配信していたのを興味深く読んだ。(対立する日中首脳に多い類似点、専門家らが指摘)

安倍さんが靖国神社を参拝したところ早速海外からの反応があった。中国と韓国から厳しい批判があったのは、安倍さんとしても織り込み済みだったと思うが、アメリカ政府から厳しい批判があったのは想定外だったようだ。そのほかEUやロシア政府も批判のコメントを出し、各国の主要メディアも批判的な解説記事を、それこそ花火のような勢いで出した次第だ。

このところ安倍さんの政治手法の強引さが眼を引く。特定秘密法を強引に成立させたことはその象徴的な事例だが、そのほかにも、多くの国民の不安感をよそにした原発推進の姿勢、そして沖縄の米軍基地問題に対する姿勢など、どれも国民への十分な説明を省いて、強引に進めているとの印象を与える。これでは安倍さんは、国民の世論あるいは民意とずれているという感想を持たざるを得ない。

今の自民党はヤンキー政党の域を通り越してブラック政党になってしまった、と言う旨の記事を過日このブログに乗せたところだが、そのブラック政党が牛耳る今の政権が当のブラック企業の取り締まりに乗り出したというニュースを聞いてびっくりした。ブラック政党が牛耳っているのだから、その政権はブラック政権と言ってよい。そんな政権がブラック仲間であるブラック企業を取り締まれるのか。

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