日本の政治と社会

レーシスト団体「在特会」が在日韓国・朝鮮人のひとたちを標的にして行っていたヘイトスピーチに違法判決が出た。京都の朝鮮学校前で街宣活動を行ったことに対して、京都地裁が新たな街宣活動の差し止めを命じるとともに、高額賠償を命じた。このようなケースで違法判決がでたのは、これが初めてで、これを契機に過激さを増すヘイトスピーチに一定の抑制効果が出るのではないかと期待する向きがある一方、法規制の強化に慎重な意見もある。

深い宗教的思索で知られるキルケゴールは、内在的理性から超越的宗教への飛躍を論じたあの「哲学的断片」という著作の中で次のように述べている。「人は自分の命を人質にすることはできるが、他人の命は人質にはできない」と。

先般口元校長というのが話題になったことがあった。公立学校の卒業式で教員が本当に君が代を歌っているか、口元の動きで確認したというので話題になったわけだが。その校長が維新の会の大阪府知事に取り立てられて教育長に出世するや、今度は大阪府のすべての公立学校長に、この口元確認を義務付けたというから、驚きだ。

駐日ドイツ大使フォルカー・シュタンツェル氏が朝日新聞とのインタビューの中で、同じく第二次世界大戦の敗戦国であるドイツと日本が、戦後にたどってきた道を比較して、興味深いことを言っている。日本もドイツも、あの戦争では侵略者であったことを踏まえて、戦後は自制の姿勢を取ってきたが、それは大きい目で見てよかった。だが両国の間では、国際環境に大きな違いがあり、そのことで微妙な相違も生まれたというような趣旨である。

今回の堺市長選挙は、所謂大阪都構想への参加の可否が争点になった「争点選挙」の典型だったわけだが、その結果、不参加を表明していた現職が、参加を訴える維新の会の新人を大きくリードする形で勝利した。つまり、堺市を巻き込んだ形での大阪都構想を主張していた維新の会が敗れたわけで、今後、大阪府と大阪市だけで大阪都構想を目指すのか、また目指せるのか、微妙な状況になってきた。

集団的自衛権を行使できるように憲法解釈を変えることに前のめりの安倍首相だが、最近言動に慎重さが目立つようになったようだ。その背景には世論の強い反対や友党公明党の慎重姿勢があるようだが、首相は決してあきらめたわけではなかろう。折を見て、決着をつけたいと考えているに違いない。

JR北海道の相次ぐ不祥事と、それを釈明する幹部のあっけらかんとした無責任ぶりが、人々の口をあんぐりとさせているが、かくいう筆者も、かつて運送業界の端くれにいたものとして、忸怩たる思いを禁じ得ない。運送事業者の中にはまじめにやっている者も当然いるし、こんな連中といっしょくたにされるのはかなわないが、世間の目にはそうは映らない。こんなことが起きると、運送事業者は十把一からげにされて「クモスケ」呼ばわりされる。なんともやりきれない話だ。

安倍政権が新たな労働破壊につながる政策を考えているらしい。新聞報道等によると、「解雇特区」なるものを指定し、そこでは労働時間の規制を排除し、残業代をゼロにする一方、企業は自分の都合で自由に従業員を解雇できるとする、というものだ。究極の労働破壊というべきで、こんな政策がまかり通るようになったら、労働者はそれこそ奴隷の境遇に陥ることとなろう。

安倍首相が来年4月に予定されている消費税の増税を予定通り実施することを決断した。一方増税が景気に及ぼすマイナス効果を削減する措置として景気対策を抱き合わせで実施することを考えているようだ。安倍首相が考えている景気対策の柱は二つ、公共事業と企業減税だ。

先日行われたオリンピック招致委員会でのプレゼンテーションで、福島第一原発の放射能汚染水漏れについての国際世論の懸念に対して、安倍首相が「状況はコントロールされている」と答えたのは記憶に新しい。大方の人が「ほんとかいな」と疑問を持ったろうし、東電の担当者も「コントロールされているとはいえない」と首相の発言を否定するかのような言い方をしていたものだ。しかし大方の国民は、この発言のおかげで日本にオリンピックがやってきたわけだから、このさい大目に見ておこう、嘘も方便だ、と受け流したというのが実情だろう。

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2020年東京オリンピックが決まったことで、スポーツマンやスポーツを愛する多くの日本人が大喜びをしているところだが、そうした人々以上に大喜びしている人たちがいる。安倍総理大臣を筆頭にした政治家の皆さんの一団だ。彼らは、日本にオリンピックがやって来ることは、日本人を団結させるいい機会になるし、それ以上に経済にプラスの影響を及ぼすと期待している。なにしろ、政治家たちは口を開けば、東京オリンピックがどんなに日本の経済を活性化させるか、財布の勘定ばかりしているように映る。

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日本政府は海上自衛隊の新たな戦力たる護衛艦「出雲」を、今年の8月6日に、海外のメディアにも披露した。政府の説明では、これはヘリコプターの搭載を主な機能とした、もっぱら護衛ない専守防衛のための艦船であって、決して攻撃用の艦船ではない、と説明しているが、隣国の中国やロシアはそう見ていないようだ。中国は、この艦船が容易に航空母艦としての機能を果たし得ることを理由に、これを日本政府が主張するような護衛艦ではなく、軽空母と見做しているようだし、ロシアに至っては、同型艦の建造予定が別にあることを根拠にして、日本の再武装即日本軍国主義の復活に強い懸念を表しているという。

小沢一郎という政治家は、1980年代以降の日本の政治に大きな影響力を及ぼし、ついには民主党による政権交代の影の立役者ともみなされまでになったわけだが、その民主党内での権力闘争に敗れ、今や風前の灯ともいえる状態だ。彼の率いる勢力はもはや物の数にも入らず、彼自身の政治的影響力が復活する見込みもない。それには年を取りすぎた。だから小沢一郎は、過去の政治家になりつつあると言ってよい。

大嶽秀夫氏の著作「日本政治の対立軸」は、所謂55年体制の成立から、冷戦の終結を経て橋本政権あたりに至るまでの、日本政治を論じたものである。書名にもある政治の対立軸というのは、主要政党間の政策の違いを端的に表明したものであり、それを分析すれば、一国の政治がどのような価値観を巡って動いているか、一望できるような概念セットであるといえる。

7月29日に行われたある会合で、麻生太郎副首相が憲法改正に触れて、「ある日気づいたら、ワイマール憲法がかわって、ナチス憲法にかわっていたんですよ。だれも気付かないでかわった。あの手口に学んだらどうかね」と発言したことについいては、日本のメディアでは当初東京新聞が紹介したくらいで、大手メディアはそろって無視していた。筆者も、そんなに大袈裟に受け取るほどのことでもないかと、一時は考えた。この男の放言癖は今に始まったことではないからと。

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アメリカの新しい駐日大使にキャロライン・ケネディさんが就くことが決まった。あのJ.F.ケネディ元大統領の長女であり、政治的なキャリアが全くないのに一定の政治的影響力を持ち、オバマ大統領とはごく近い関係にあるといわれる。受け入れる日本政府としては、日米同盟重視の現れだとして表向きは歓迎する姿勢だが、外交に関する経験もなく、政治的能力が全く未知数なこの女性を、どのように扱ったらよいのかと、懸念する向きもあるようだ。

日本維新の会から参議院選挙に立候補して見事当選したアントニオ猪木氏が、北朝鮮を訪問するというので、マスメディアの話題になっている。アントニオ猪木氏はこれまでにも何回となく北朝鮮を訪問しているし、ただ単に訪問しているだけではなく、北朝鮮の空気を日本に伝えるメッセンジャー役を自任しているフシもある。そんなことから、氏は北朝鮮マフィアの一員だとみなされることもある。

今回の参議院選挙からネットが解禁されたということで、初めてのネット選挙だと話題になったが、果して実際にどのような影響があったのか。そのあたりのことを、NHKの番組「クローズアップ現代」が分析していた。(検証"ネット選挙")

無覚先生:今回の参議院選挙は、予想通り自民公明両与党の圧倒的勝利に終わりましたね。合わせて三分の二を超えるまでには至らなかったが、安定多数には達した。これで両与党は、衆参のいわゆるねじれを解消して、安定的な政治運営ができるようになったと、メディアは一様に積極的に評価している。その一方で、多数に驕る自民党が暴走し出すのではないかと危惧する人もいる。実際安倍さんは、憲法改正とか原発再稼働、あるいはTPPといった与野党対立案件については、選挙期間中封印して、もっぱら経済回復に集中していたわけだが、衆参の絶対多数を背景に、こうした案件について持ちだし、ゴリ押しするのではないか、との観測も流れている。こうした事情について、お二人さんは、どんな風にお考えですか。

広島県の山中で16歳の少女の遺体が遺棄された事件。同じ16歳の少女が自首して、警察の捜査の結果、この少女を含めて6人の人たちが少女に暴力を加えて殺害し、山中に遺棄したということがわかってきた。そして、その少女の仲間のうち三人の少女たち(いずれも16歳)が、事件への関与を認めて出頭してきた。ところがこの少女たちは、ひとを殺害して遺棄したことについては反省の意を示さず、もっぱら自分たちが今後どうなるのか、そんなことばかり気にしていると報道された。これを聞いて筆者は思わず慄然とした次第だ。

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