日々雑感

岩波書店の読書誌「図書」の最新号(2023年4月号)に「バーリンとドイチャー、論敵と友人」と題する一文(近藤和彦作)が載っているのを、なつかしい気持ちで読んだ。これは、マルクス主義の歴史家アイザック・ドイチャーとマルクスを「ただのユダヤのイカサマ師」と罵ったアイザイア・バーリンを取り上げ、それに論者が孤高の学者と呼ぶEH・カーを絡ませている。この三人は、小生も若い頃によく読んだものだし、とりわけドイチャーには敬服していたので、そのドイチャーにオマージュを捧げたようなこの小文は、小生にとっては、懐かしい気分にさせられるものだ。

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歌舞伎「女殺油地獄」をNHKのテレビ放送で見た。近松門左衛門の同名の浄瑠璃を歌舞伎化したものだ。小生は日頃歌舞伎を見ることはほとんどないのだが、近松の浄瑠璃を歌舞伎化したものは、なるべく見るようにしている。この「女殺油地獄」は近松最晩年の作品で、一応世話物に分類されるが、ほかの世話物が心中を中心にして義理と人情を描いているのに対して、これは悪漢の極道ぶりをテーマにしたもので、近松の作品の中でも異質なものである。享保年間に初演されて以来、徳川時代を通じて再演されることがなかったのは、題材のあくどさが庶民の共感を得られなかったからだ。明治に入って坪内逍遥がこの作品を再評価し、歌舞伎にも取り上げられるようになった。特に上方歌舞伎がこれを取り上げたのだが、このNHKの番組も、上方歌舞伎の片岡一座が手掛けていた。

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船橋の天沼公園は、JR船橋駅の北口を出て徒歩数分のところにある。今日(3月31日)はその天沼公園に花見に出かけて、思いがけない体験をした。桜を楽しんだのはともかく、大勢の鳩と心温まる交流をすることができたのだ。小生が天沼公園に行く気になったのは、家人にそそのかされたためである。家人が言うには、折角の花見の季節なんだから、家に閉じこもってないで出かけなさいよ、海老川沿いの桜がきれいだから、そこへ行ってみなさいよ。こういうので小生は、海老川までは遠いなと言ったところ、じゃあ天沼公園にいったらどうなの、あそこにもたしか桜があるはずよ。こう言われて小生は、先日長津川の桜を見たばかりだったが、場所を変えて花見を楽しむのもよかろうと思い、出かけた次第だった。

トランスフォビアとは、トランスジェンダーに憎悪を向けることを意味する言葉だ。その言葉によって激しい批判を浴びている者がいる。「ハリー・ポッター」シリーズの作者として知られるJ.K.ローリングだ。彼女はこの数年、トランスジェンダーへの偏見を煽ってきたとして、強い批判を浴びてきたのだったが、この度トランスジェンダーをテーマにした動画「The Witch Trials of J.K. Rowling」をポドキャストに投稿したことで、声高な批判が沸き起こった。

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今年は桜が咲くのが早かった。東京では3月23日には満開になったというし、小生の地元船橋でも24日ごろに八分咲きの状態になった。ところが24日から三日間雨天続きで花見というわけにはいかなかった。それがこの日(27日)には天気も回復し、桜もほぼ満開になったので、小生は例年通りすし屋に立ち寄ってから近所の桜の名所長津川公園に出かけた次第だ。

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WBCにおける日本チームの優勝を素直に喜びたい。決勝戦の行われたこの日、小生は朝七時前に起きて、荊婦の出勤を見送り、洗面、朝食を済ませたあとテレビの画面に向かった。八時過ぎに始まった試合は、最終回まで緊迫した展開で、じつに見ごたえのあるものだった。決勝戦の相手アメリカチームは、今年は大リーグの実力プレーヤーを擁し、史上最強のチームといってよかった、そのアメリカチームと日本チームは互角に戦ったうえ、ついには優勝したのだ。その瞬間、小生は思わず鬨の声を上げたのだった。

大江健三郎が、老衰で、死んだ。五・六年ほど前まで、読書誌「図書」にエッセーのようなものを連載していたのが、近年は文業からほとんど遠ざかっているように見えたので、老衰が進んでいるせいだろうかと思ったりしたものだが、そのとおりだったわけだ。だが、八十八歳という年齢は、老衰死というにはなじまないのではないか。たとえば鈴木大拙は、九十歳を超えてもなお、旺盛な執筆意欲をもっていたし、親鸞聖人も、あの時代に生きながら、八十代の半ばまで知的活動をやめなかったものだ。それを思えば、八十八歳で死んだ大江は、死に急ぎすぎたのではないか。

昨晩、飯の支度ができるのを待つ間、部屋でくつろいでいると、いきなり耳を弄するような大音響が起こって、おもわず腰を浮かしてしまった。尋常な音ではない。まるで近くで巨大な爆発があったかのような不快な音である。そこで、台所で食事の支度をしている家人のところに行って、「この音はなんだ」と聞くに、「雷でしょ」とあっさりした反応。小生にはこれは、雷鳴というよりは爆撃音のように聞こえたので、その旨を話すと、「何を馬鹿なことを言っているんですか」と冷笑される。「外を見なさいよ、雨が降ってきたでしょうが」と言うのである。たしかに、外では雨が降り始めている。ということは、やはり雷鳴だったのか。


小生は例年中山法華経寺に初参りするのであるが、今年は趣向を変えて市川の弘法寺に詣でた。法華経寺同様日蓮宗の寺である。戊辰戦争の際には、官軍・幕府軍双方が拠点の一つとした。幕府軍は撒兵隊がここに本営を設けて官軍を迎えうち、ここに市川・船橋戦争が勃発した。この戦争で、市川から船橋にかけて、佐倉街道沿いが官軍によって焼き討ちされ、一帯は焼け野原となった。たまたま、この戦争の直後佐倉街道をとおりがかった依田学海が焼け跡の様子を目撃している。

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昨年秋に妻の母が亡くなったので、年末年始の挨拶はひかえるつもりでいたところ
いざ年があけてみると、世界は昨年と同じくかわりなく動いているので
なんとなくうれしくなって、読者のみなさんに挨拶したくなった、
この年になると、一つ年を重ねられることに喜びを感ずるものなのである

もっとも、昨年はひどい年だった
コロナ騒ぎが一向に収まらず、むしろコロナで死ぬ人の数が増えた
これは基本的には、日本の国力が衰えたことによるものと考えられる
日本は、いまだに有効なワクチン開発もできず、コロナの治療薬も
外国からの供給に頼っている始末
目先の利益ばかりを考え、国家百年の計を考える日本人がいなくなったせいだと
小生などは考えている、そういうことを家人にいうと、
そんなに日本人を馬鹿にしないでほしいと返されるのであるが
やはり事実は事実として受け止めねばなるまい

昨年はまた、物価上昇が人々の生活を直撃した
悪性インフレーションといってよいほどである
これは、黒田日銀の狂気じみた振る舞いに加え
折からのウクライナ戦争の影響によるところもあった
ウクライナ戦争をめぐって感じさせられることは
今や世界はプーチンとかバイデンといったボケ老人に命運を握られていて
いつ何時核戦争が勃発し、亡びないともかぎらないという不安である

今年が昨年よりましになる可能性はそう大きくはないと思うが
とにもかくにも、また一年生きのびることができるよう
祈らずにはいれらない

なお、今年はウサギ年なので、ウサギの絵をお届けする
十二年前のブログに掲載したものの再掲載である

壺齋老人 謹白


イーロン・マスクがツイッターを買収した後、ツイッターの存続にとって不利益になることばかりやっているので、マスクはツイッターをつぶすつもりだという憶測が流れているようだ。マスクはツイッターを買収するために四百四十億ドル(日本円で六兆円以上)もかけているので、まさかその大金をどぶに捨てような真似をするとはとても考えられないのだが、かれの実際にやっていることがツイッターをつぶす方向に左右するだろうことは確実に言えることである。

アントニオ猪木といえば、かつてジャイアント馬場とともに日本のプロレスを大いに盛り上げた人だ。その彼が昨日、壮絶な闘病生活の末に死んだというので、大勢の人々がその死を悼んでいる。小生もその一人だ。小生の場合もそうだが、彼の死を悼む人は、単にかれのプロレスが好きだからというより、その人柄にひかれたのではないか。かれは非常に折り目正しい人で、誰に対しても礼儀正しくふるまったという。そうした謙虚な人間性が大勢の人々をひきつけ、その死を悼ませたのではないか。

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今年初めて秋空らしい晴天がのぞいたので、近所にある行田公園まで散歩に出かけた。この公園は、旧海軍無線基地の跡地の一部であって、敷地全体は、上から見るとほぼ完全な円形である。その理由は、アンテナの情報収集能力を高めるためには、複数のアンテナを円形に配置するのが有利だからという。
今年の夏の全国高校野球大会で、宮城県代表の仙台育英高校が優勝した。小生は、うかつなことに、これが東北勢にとって夏冬合わせてはじめての全国制覇度ということを知らなかった。とにかく104年の歴史の中で、東北勢として初めて優勝したというので、地元の宮城県だけではなく、東北全体が喜びに沸き立っているという。小生もまた、その優勝を祝福したいと思う。

大谷翔平選手が、大リーグ104年ぶりの大記録となる快挙を成し遂げたというニュースが伝わってきて、それを喜んだ日本人の一人が小生だった。とにかく素直に喜びたい。なにしろ、野球の神様といわれたあのベーブルースが、1918年になしとげた記録(投手としての10勝と打者としての10本塁打以上)を104年ぶりに達成したのだ(1918年のベーブ・ルースは、投手として13勝、打者として11本塁打)。

小生は日頃、Movable Typeを使ってブログを運営しているのだが、昨日(2022年8月6日)、定例更新のために管理画面にアクセスしようとしたら、次のようなエラーが出て、アクセスできない。
 Connection using old (pre-4.1.1) authentication protocol refused 
(client option 'secure_auth' enabled)
どうやら、古いパスワードを使っているのが理由ということらしいが、どうしたら問題が解決できるのか皆目見当がつかない。このままだと、二度とアクセスできなくなるのではないかと、冷や汗をかいたものだ。

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今年生まれたカルガモの子どもたちを最後に見たのは7月7日だった。それ以来しばらく姿を見なかったが、今日(7月28日)、いつもの水路で元気な姿を見た。驚いたことに、子どもたちはすでに親とほとんど変わらない大きさに成長している。

無覚先生:今回の参院選では、自民党が単独過半数を占めたうえに、いわゆる改憲勢力が三分の二以上を占める結果になりました。一方、野党のほうは、立憲が大幅に議席を減らし、共産党も減らすなど、去年の衆院選に続いて退潮傾向を防げなかった。こうした傾向はしばらく前から指摘されていたことで、選挙は水物とはいうものの、与党有利の予測がそのまま的中しました。それには、ウクライナ戦争がおきて、国民の間に安全保障への関心が高まったことなどが大きく働いていると思うのですが、つい最近起きた安倍元総理の射殺事件も影響しているのかもしれない。安倍元総理のことはどう思いますか。

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小生が毎日散歩する公園の水路には、カルガモの姿を時折見ることができる。一時期は、この水路で卵をかえし子育てをしていたものだ。ところが、三・四年前から雛をかえすことがなくなった。理由は明らかではないが、卵を産む時期に管理者が水路を浚渫したために、それに驚いて去ったのではないかと思っていた。しかし、その後もずっと卵をかえす様子が見られなくなったので、この水路で営巣することを断念したのではないかと思ったりした。

岩波書店発行の雑誌「世界」が、直近の5月号でウクライナ侵攻に関する緊急特集を組んだほかに、「ウクライナ侵略戦争」と銘打った臨時増刊号まで出して、この問題をさまざまな視点から解説している。それらを読んだ印象は、当初はプーチンの暴挙を厳しく非難するものがある一方、プーチンをそこまで追い詰めた西側にも一定の責任があるという論調もあるということだった。二つの特集を読み比べると、後から出た臨時増刊号の諸論文のほうが、プーチン非難の調子が高まっているようである。

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